50歳からの「死に方」/弘兼憲史

 

 

 「島耕作」シリーズなどで知られる漫画家・弘兼さんのシニア論です。

 タイトルには「死に方」とありますが、8割方は50歳代に差し掛かった会社員の男性に向けた「生き方」で、ありがちな「老害」をまき散らさないための準備を50歳くらいから始めといた方がいいですよ、という内容なのですが、最後の20ページほどが「死に方」についての言及になります。

 「死に方」というのは、自分でどういう最期を迎えるのか、ということをあらかじめ意識しておいて、そこに向けて少しずつ「準備」しておくことを勧められています。

 あー、そういう歳なのかぁ…と思わされました。

 

運を支配する/桜井章一、藤田晋

 

運を支配する (幻冬舎新書)

運を支配する (幻冬舎新書)

 

 

 「雀鬼」桜井さんの言葉を、サイバーエージェントの藤田社長がビジネスの言葉に「翻訳」するというカタチで構成された本です。

 藤田さんは若い頃麻雀にハマっていた時期があったようで、桜井さんが主宰する雀鬼会に出入りしていた時期があったということで、そのころの教えがビジネスにも生きているということで、こういった企画につながったようです。

 確かに桜井さんの言葉って、どこか超越したところがあって、おっしゃっていることはなんとなく理解できる気はするのですが、実体がつかめないところがあるような気がするのですが、愛弟子である藤田さんが、その考えをビジネスに活かせるようにしたのですが、桜井さんがあとがきで藤田さんに対して、雀鬼会の思想を別の形で受け継いでくれてうれしい、といった趣旨の謝意を示されています。

 ただ、やっぱり勝負の世界にせよ、ビジネスの世界にせよ、失敗するのは自分の「あり方」そのものだということで、確かに藤田さんが置き換えてくれた言葉は、桜井さん自信が発せられた言葉よりも身近なモノが多いので、理解しやすいような気はするのですが、桜井さんのような静かな佇まいで対峙することは、相当なココロの陶冶が必要なようです。

 

弁護士が勝つために考えていること/木山泰嗣

 

弁護士が勝つために考えていること (星海社新書)

弁護士が勝つために考えていること (星海社新書)

 

 

 税務に関する訴訟を中心に活躍されているスゴ腕弁護士の語る、訴訟への「勝ち方」です。

 あ、でも弁護士が「勝ちます」って約束することは、禁じられているようですが…

 主に民事訴訟について語られますが、ワタクシも法学部卒なんですが、大学在学中のウワサで、民事訴訟法は退屈で難解だということで敬遠した記憶があります。

 そんな中で、如何にして民事訴訟での勝率を上げて行こうかということなんですが、まず冒頭でおっしゃられているのは、意外と民事訴訟で弁護士をつけずに裁判に臨む人が少なからずいるようで、それって丸腰で戦場の最前線に行くようなもので、ハチの巣にされるのが関の山なんだそうです。

 そんな中でも最近は弁護士の得意分野も細分化されていて、自分が訴訟に臨む分野に明るい弁護士に依頼することが鉄則なんだそうです。

 訴訟の際の対応なんですが、堺雅人さん主演の「リーガルハイ」をご覧になった方だと、訴訟相手を論破するディベート術が重視されるという印象を持ちますが、実は文書の方が重視されるらしく、この本の中で木山さんは、「平積みになっているわかりやすいビジネス書」のような表現で文書を書ける弁護士がデキる弁護士なんだそうです。

 法学部卒でありながら、長らく法律に関する本から離れていましたが、やっぱり面白いですね。

 

あせらない/岩隈久志

 

 

 WBCのメンバーとして優勝に多大な貢献をし、現在シアトルマリナーズで活躍されている岩隈投手の著書です。

 頭脳的なピッチングで知られる岩隈投手ですが、技術的なことや相手打者との駆け引きだけではなく、自身のメンタル面におけるコントロールにも配慮されているということで、過去にメンタル面のコントロールで失敗した経験を活かして、メジャーでのノーヒットノーラン達成につなげたというエピソードを紹介されています。

 キャリアの中で、二段モーション禁止の影響を受けたこと、所属していた近鉄バッファローズの消滅、ポスティング移籍の破断など、かなり困難な状況に追い込まれた経験を経ながら、淡々と結果を出し続けているところなど、自分が置かれた状況を冷静に判断し、どう対応するかを緻密に考え抜いているからこそなんですね!

 今後も、活躍を期待したいところです!

 

プログラム/レイチェル・グリーンウォルド

 

プログラム―ハーバード大学MBAメソッドによる30代からの結婚へのステップ15 (ブルームブックス)

プログラム―ハーバード大学MBAメソッドによる30代からの結婚へのステップ15 (ブルームブックス)

 

 

 白河桃子さんの『「キャリモテ」の時代』で参考図書として挙げられていたモノで、ハーバードビジネススクールを卒業されてマーケターとして活躍されている人が、ハーバードビジネススクールで教えるマーケティングの方法論を「婚活」に適用しようという主旨の本です。

 副題には「30代からの」とありますが、元々原作では35歳以上の女性をターゲットにして書かれたモノだということで、なぜか翻訳された際に“30代”の女性がターゲットということですり替えられたようですが、別に30代の女性に限らず、婚活一般に適用できる汎用性の高いメソッドだと感じました。

 「婚活」にマーケティングを適用なんて言うと、ムリヤリ感があるもんじゃないかと思ったのですが、明確にターゲット設定をして、そこに向けて有効なリーチができるような“製品”に仕上げ、訴求するということで、有効なアプローチをしようということで、よく言われますが、「婚活」とマーケティングってホントに似ているんだなあ、と感じさせられますが、こういう努力をしないにも関わらず、出会いに恵まれないと嘆く人も少なからずいると思います。

 まあ、この本に書かれていることを全部が全部キッチリとこなそうというのはキビシいかも知れませんが、少しずつ実践していくことで、随分と「婚活」の成功率が上がっていくんじゃないか、という気がします。

 

 

20代・ハッピー☆パラサイトの消費のチカラ/牛窪恵

 

 

 白河桃子さんの『「キャリモテ」の時代』で参考図書として挙げられていたので、手に取ってみました。

 この本は2007年に出版された本で、エビちゃんこと『CanCam』のカリスマモデルとして、社会現象とも言える程の人気を誇った蛯原友里さんの全盛期に当たる時期で、エビちゃんファッションを真似るOL世代の旺盛な消費があったようです。

 その背景として「ハピパラ」ということで、比較的豊かな家庭の育ちで、自宅で生活をしているということで、元々可処分所得が高い上に、親からの支援もありということで、あたかもバブル期のようにブランドモノへの出費を惜しまないようです。

 「エビちゃんファッション」全盛期ということで、この頃は、まだまだ高収入のダンナをつかまえて、専業主婦になろうという志向も強いようです。

 また、男性側も含めて「つながる」ための消費と言うキーワードもあり、当時まだLINEは無かったのですが、mixiなどのSNSの黎明期で「つながる」ために、横並び的な消費も旺盛なようです。

 今からするとちょっと隔世の感がありますが、バブル期以降もこんなハデな時期があったんだ…と驚いた次第でした。

 

サッカー代理人 ジョルジュ・メンデス/ミゲル・クエスタ、ジョナタン・サンチェス

 

サッカー代理人 ジョルジュ・メンデス

サッカー代理人 ジョルジュ・メンデス

 

 

 4度バロンドールを獲得したクリスチアーノ・ロナウドやヨーロッパ3大リーグでのタイトルとチャンピオンズリーグで3回の優勝を誇る“スペシャル・ワン”ジョゼ・モウリーニョなど、現代の名だたるサッカー選手、監督の代理人を務め、世界ナンバー1の代理人と言われるジョルジュ・メンデスの評伝です。

 サッカー代理人なんていうと、魑魅魍魎のダマしダマされの世界というイメージがあるのですが、成功した代理人の中でも、ジョルジュ・メンデスは特に人格者として知られ、契約した選手からの信頼も厚く、クリスチアーノ・ロナウドを始めとした世界的な選手たちが父と慕うようです。

 また、選手の代理人と言うと、高く売りつけられるんじゃないかということで、クラブとは利害が対立することが多く、煙たがられる存在であることが多いの
ですが、ジョルジュ・メンデスはむしろ、クラブからも頼りにされる存在で、モウリーニョレアル・マドリードの監督をしている時は、あまりにクラブと親密な関係にあったことから、無用な邪推を招いたこともあったようです。

 まあ、評伝であんまり悪く書くこともありませんが、とにかく如何に手掛けた選手たちが活躍できるのか、ということにココロを砕かれており、どのクラブでプレーするのがいいのかということをしっかりと見極めた上で、移籍を進めるようにしているので、移籍後にクラブ内の政治的な駆け引きに巻き込まれることも少なく、プレーに集中できて成功する選手が多いようです。
 
 こういう風に目先の利益にとらわれず、選手の適性を見極め、戦略的にコトを進めることが代理人としても成功する確率が高いようです。