稼げる観光/鈴木俊博

 

稼げる観光: 地方が生き残り潤うための知恵 (ポプラ新書)

稼げる観光: 地方が生き残り潤うための知恵 (ポプラ新書)

 

 

 地方振興のプロデュースを手掛けられている方が観光客誘致の方策を紹介された本です。

 どうしてもリソースが不足しがちな地方においては地域振興といってもどうやって進めて行っていいのか途方に暮れる部分があると思うのですが、外の目から見ると意外と多くの魅力が隠されていることが少なくないようですが、そういった意味での着眼点を多く紹介されています。

 そういう意味で独りよがりの“プロダクト・アウト”的な発想ではなく、訪問者のニーズに沿った“マーケット・イン”の発想が重要なワケですが、そうはいってもそんなに小難しいことではなく、訪問者と一緒に楽しむというか、その地域の人も情熱をもって取組めるようなモノを見いだすことが成功につながることが多いようです。

 インバウンドの増加など、地域振興のチャンスは広がって行っているので、そういった方向での振興を進めていく上で、かなり実務的に参考になる本なんじゃないかと思います。

 

婚外恋愛/亀山早苗

 

婚外恋愛 (メディアファクトリー新書)

婚外恋愛 (メディアファクトリー新書)

 

 

 かつては男性の専売特許であった「不倫」が、女性の間で広がっていっている状況を追ったモノです。

 タイトルの「婚外恋愛」と言うのは、「不倫」という響きを嫌った当事者たちが飛びついたキーワードで、この本が出版された2014年当初には多少のポピュラリティがあったようですが、すっかり廃れてしまいましたね…

 そもそも女性たちが「婚外恋愛」にいそしむようになったのは、「恋愛を突き詰めた先に結婚がある」とされていた一般的な恋愛観が幻想であることがバレてしまったことと、そういった中で、女性として恋愛が不可欠だと主張できるようになったことがあるのでしょう。

 確かに、「不倫」というのは単なる社会の価値観が生んだ概念であり、「何が悪いの?」と居直られたら、根源的な「罪」を突き詰めることはできないんじゃないかという気がします。

 余程のインセンティブがなければ、そんなに遠くない将来に、結婚と言う制度自体が忘れ去られてしまうかも知れませんね。

 

山手線に新駅ができる本当の理由/市川宏雄

 

山手線に新駅ができる本当の理由 (メディアファクトリー新書)

山手線に新駅ができる本当の理由 (メディアファクトリー新書)

 

 

 昨年、2020年に品川-田町間に山手線30番目の駅ができることが正式決定したという報道がありましたが、この本はその経緯とインパクトに関する内容となっています。

 ワタクシ実は、日々通勤でここを通っているのですが、確かに駅間距離は長いものの、何でこんなところに…停車駅が増えて煩わしい…と言うのが正直なところでした。

 しかし、この本でとてつもない構想を知ることになりました。

 この本の著者は都市政策の専門家なのですが、そもそも駅ができる理由と言うのが7つばかりの類型に分けることができるようなのですが、今回の新駅はそういう既成の概念を飛び越えたところにあるようです。

 報道でも、新駅に一大モールの導入を想定していることが触れられていましたが、国や都もこの構想に参画していて、ここを一大グローバルビジネス拠点にしようという構想があるようです。

 羽田からごく近い品川にそういう拠点を作ることで、シンガポールや香港、上海などアジアのビジネス拠点に対抗して以降という構想で、リニアの基点となることも含めて、日本中の人の流れが一変するほどインパクトのあるプロジェクトらしく、ワクワクしながらアッという間に読了してしまいました…今から待ち遠しいですね!

 

その「グローバル教育」で大丈夫?/ヤマザキマリ×小島慶子

 

その「グローバル教育」で大丈夫?

その「グローバル教育」で大丈夫?

 

 

 映画化もされた大ヒットマンガ『テルマエ・ロマエ』作者のヤマザキマリさんと、元フジテレビアナウンサー・小島慶子さんによる子育てに関する対談です。

 共に現在生活のベースが海外にあり、子育ても海外で行った経験から、現在の日本での「グローバル志向」の子育てを見て、ホントに大丈夫?と疑問を呈されます。

 というのも、その「グローバル志向」というのが、英語ができて、海外のいい大学に留学して…といったことを志向されているようですが、海外で一人生きていこうとすれば、学歴とかそういうプロフィールを作り上げることじゃなくて、生きる力そのものなのに、「グローバル志向」の方々がされていることは、ご子息がプロフィールに頼って生命力を失っていくことにつながっているんじゃないか、とおっしゃいます。

 日本の「エリート」と言われる人たちが弱さを露呈しがちなのは、その証左とも言えると思うのですが、バックグラウンドの異なる人たちを向こうに斬った張ったがデキる人って、このお二方がおっしゃるような人だとは思うのですが、お二方が読者として想定している人たちの耳には届かないんだろうなぁ…

 

僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない/岡田斗司夫

 

 

 「オタク」の岡田さんによる「働き方」論です。

 なんとも過激と言うかトッピなタイトルなんですが…

 そもそもなんのために働くのかと聞かれた時に多くの人が「食べていくため」と答えると思うのですが、ただ単に「食べる」ためにそんなにおカネが必要なのか?というと、多くの人に取ってそんなことはなくて、「欲しい」モノを手に入れる為におカネが必要となっていることが多いということです。

 でも、それも必ずしもおカネを介在させる必要があるのか?と疑問を呈されていて、おカネを介在させることによって、コトをより複雑にさせてはいませんか?とおっしゃいます。

 またおカネが必要だとして、必ずしも1つの会社に「就職」する必要があるのか?ということについても問いかけられます。

 これも貨幣経済が進み過ぎたが故に思考停止に陥って、そういう選択肢しか見えなくなってしまっている部分があると思うのですが、岡田さんがススメるのは、50くらいのおカネが手に入れられる手段を用意して、それを並行してやっていくことで、トータルで必要なおカネを手に入れたらどうか、ということです。

 そのために必要なのがコミュニティとか周囲の人々との関係性ということであって、そういうモノがしっかりとしていれば「就職」する必要はないし、逆に「就職」が周囲とのコミュニケーションを阻害している面もあるように感じられました。

 ブッ飛んだモノと受け取る向きも多いでしょうが、ワタクシは結構考えさせられてしまいました。

 

あと20年でなくなる50の仕事/水野操

 

あと20年でなくなる50の仕事 (青春新書インテリジェンス)
 

 

 インターネット革命においても、相当人間の仕事がITに取って代わられて、雇用の状況がここ10年程で随分変わってしまった気がしますが、AIが本格的に実用化されるにあたって、さらにシゴトが変わっていくようです。

 単純な作業が機械化されるのは、IT化の進展で我々も経験してきたところですが、接客など、ある程度人間の判断が必要となる作業もAIの導入によって、機械化できるようになるということで、今後どういうスキルをつけて行かないといけないか、ということを考える上で、重要なヒントが多く隠されています。

 雑駁に言ってしまえば、AIと競わなければならないか、AIを使いこなす立場になるかということが、今後も残る仕事なのかどうかを判断する基準になると思うのですが、今後、相当求められる能力が高度なものになることだけは間違いないようです。

 

職業としてのアキバ・メイド/中川嶺子

 

職業としてのアキバ・メイド (中公新書ラクレ)

職業としてのアキバ・メイド (中公新書ラクレ)

 

 

 アキバでメイドをされていた方によるメイドの紹介本です。

 ワタクシ、関連するオフィスがアキバにあることもあって、時折アキバに足を向けるのですが、メイドのコスチュームを着てチラシを配っているおネエさんをしばしば見かけるのですが…

 この方はメイド・リフレといって、メイドのコスチュームを着てクイックマッサージの施術をするというお仕事をされていたということなのですが、結構ビミョーなところがあるようです。

 フーゾクほどではないにせよ、やっぱり「女性」をウリにしているだけあって、勘違いしてしまうお客さん…特にオタクっぽい人は思い込みが激しいところがあって大変なようですが、多少ライトなところがあって、カフェとフーゾクの中間みたいな性格があるようです。

 勤務するオンナのコたちも、フーゾクみたいにノルマがあったりすわけではなく、比較的ハードルが低いようですが、結構ヤバいんとちゃうの…と思いますが…