楽しく学べる「知財」入門/稲穂健市

 

楽しく学べる「知財」入門 (講談社現代新書)

楽しく学べる「知財」入門 (講談社現代新書)

 

 

 知財っていうとワタクシが昔、中小企業診断士試験を受けていた頃に、経営法務って科目に含まれていて苦労した記憶があります。

 ということで、ごく基本的な知識はあった上でこの本を手に取ったワケですが「楽しく学べる」ということですので、教科書的に知財の内容を辿るというよりも、知財にまつわるトピックを紹介することで、知財への親近感を高めると言ったことが目的になっている本のように感じます。

 以前問題になった東京五輪のエンブレムの摸倣問題における著作権法上の問題を語るとか、一時期問題になった有名ブランドのパロディ商品の商標権上の問題などの親しみのあるトピックを通して知財の実務的な扱いを学べるといった感じで、今まであまり知財に縁の無かった人が、なんとなく雰囲気をつかむと言った意味でも意義があると思いますし、ごく基本的な知識のある人が実務上の取り扱いを学ぶという意味でも大きな意義があるんじゃないかと思います。

 

はじめての宗教論 右巻/佐藤優

 

はじめての宗教論 右巻 見えない世界の逆襲 (生活人新書)

はじめての宗教論 右巻 見えない世界の逆襲 (生活人新書)

 

 

 ということで昨日に引き続き、宗教の基本的な概念を紹介されているという右巻の方を引き続き紹介します。

 基本的な概念といいつつ、カンタンな内容だとというワケでないのは左巻同様です。

 そもそも宗教ってどういうモノだ、ということについて佐藤さんは「見える世界」と「見えない世界」を繋ぐものと定義されています。

 宗教の役割みたいなところも興味深いのですが、佐藤さんが再三、グローバルについて理解するには宗教、特にキリスト教について理解することが不可欠だということをおっしゃられていましたが、この本の中でキリスト教的なモノの考え方と、日本人の発想のベースとなる考え方の違いをいろいろと取り上げられています。

 確かにこれはちゃんと意識をしていないと根っこのところで理解できない事態が発生しかねない違いがあって、参考になります。

 もうちょっとツッコんでこの分野の本に当たっていかないとなぁ、って感じです。

 

 

はじめての宗教論 左巻/佐藤優

 

はじめての宗教論 左巻 ナショナリズムと神学 (NHK出版新書)

はじめての宗教論 左巻 ナショナリズムと神学 (NHK出版新書)

 

 

 「知の怪人」佐藤さんによる初歩の宗教論ということで手に取ってみたのですが、右巻、左巻どっちが先?って…右の方が先だったみたいです…

 「はじめての」とありますが、必ずしも平易な内容というワケではなく、正直かなり難解です…と言うか、哲学の主要な説などかなりの前提知識を必要とするのかなという気がします。

 宗教の基本的な概念を紹介したという右巻から読んだ方が分かりやすかったのかもしれませんが、副題に『ナショナリズムと神学』とあるのですが、そればかりに終始するワケではなく、宗教の“機能”みたいなことを紹介されます。

 宗教と言うと日本人は倫理や道徳と言ったことを思い浮かべがちですし、宗教がそういう側面を持っていることは間違いないと思うのですが、必ずしもすべての宗教が倫理的だったり道徳的だったりするワケではなさそうです。

 突き詰めて言えば、宗教と言うのは個人の内心の問題であり、信条を形成するためのサポートだったり、バックグラウンドになったりすることが根源的な機能のようで、そういうところにツケ込んで宗教を“悪用”しようとする為政者もいたりするワケで、その一つとしてナショナリズムと結びつけることがあるようです。

 あとは、この本の主題という訳ではないのですが、この本に書かれていることで一番印象的だったのが、長く資格試験のための勉強をしているとアタマが悪くなる、とおっしゃっていることです。

 要するに、決まりきった論理の枠組みの中で、如何にそれに合わせるかというトレーニングをしていると、思考力が低下してしまうということらしく、ミョーにナットクすると同時に、コワいなぁ、と思わされました。

 

電車通勤の作法/田中一郎

 

 

 出版された段階で28年の長きにわたり往復4時間の、しかも赤羽線丸ノ内線、山手線といった超混雑路線の通勤を続け、「電車通勤士」としてネットで電車通勤のノウハウを紹介されている方の本です。

 乗る車両の選択や、車両内の位置、カバンの持ち方から座り方まで、如何に快適に、かつ周囲の人に迷惑をかけずに電車通勤するための心得を、こんなことまで気にしてんだ!?と呆れてしまう程の詳細なノウハウを紹介されています。

 確かにこういった内容をすべての人がしっかりと守れば快適になるんでしょうけど、逆にそうじゃない人が多すぎてストレスになる気もします。

 まあ、ワタクシ自身は超早朝通勤主義なんで、あんまり関係はないんですけどね…(笑)

 

世界が認めた「普通でない国」日本/マーティン・ファクラー

 

 

 ニューヨーク・タイムズ紙で東京支局長を勤められていた方による「日本礼賛」です。

 東京五輪開催が決まった前後から、やたらと日本をホメそやす本が乱発されて、読む時にはかなり眉にツバを塗って読むことが多いのですが、日本贔屓とは言えアメリカ人が書かれた本なので、多少はプレーンな意見があるのかな、ということで…

 日本礼賛本なんですが、礼賛一辺倒にはならなくて、太平洋戦争後も総括が行われずにうやむやにしてしまったことでも分かるように、日本が“反省”のできない国民性であることを指摘されていて、それによって、長らくの中国や韓国との軋轢が解決できないということを指摘されています。

 その反面、他国に比べて最下層の人々の意欲や能力が著しく高いことや、日本国内よりも海外において、そのオリジナリティが高く評価されていることなどを指摘されており、もっとプライドを持つべきだということです。

 まあ、ありがたいご意見なのですが、これを聞いた日本人が調子に乗り過ぎないように気を付けたいですよね…

 

地雷手帳/犬山紙子

 

地雷手帖 嫌われ女子50の秘密 (文春文庫)

地雷手帖 嫌われ女子50の秘密 (文春文庫)

 

 

 犬山さんのエッセイにハマってます。

 今回のテーマはオンナの人のこんな言動・行動が嫌われますということで、オトコ、彼氏、オンナ、職場というジャンルごとに嫌われ行動を紹介されています。

 モチロン道徳的にどうのこうのというカタいハナシではなくて、かなりキワドイ内容をいつものように、決して電車内で読んではいけないくらいの笑いで語られるのですが、読後に、あーコワ…と思わせるところもいつも通りです。(笑)

 ナンと言うか、最後の方のカウンセラーの方との対談でも触れられているのですが、特にオンナの人って“中庸”を求められるのかな…まあ、オトコでも同様なのですが、特にオンナの人はその程度が…とにかく悪目立ちしないように、極端な行動は避けた方がよさそうで、用心が必要なようです。


 でもあとがきに書かれていますが、悪口なんて結局は誰かには言われるモノなんだから、気にしすぎて窮屈な想いをするのもまたダメなんですよねぇ…

 

新聞・テレビは信頼を取り戻せるか/小俣一平

 

新聞・テレビは信頼を取り戻せるか (平凡社新書)

新聞・テレビは信頼を取り戻せるか (平凡社新書)

 

 

 NHKで報道に携わって来られた方による報道に関する本です。

 報道の中でも、「調査報道」という取材側が主導しての報道を中心に語られるのですが、ニュースソースからの情報の提供を元にした「発表報道」と比較して近年「調査報道」の割合が顕著に下がって来ているということです。

 それが意味するところは、ジャーナリストが自主性というか、自らが主導した報道が減少してきており、ジャーナリズムの斜陽があるんじゃないかと指摘されています。

 かつて「調査報道」というメディア側主導の報道の成功例ということで、田中角栄元首相を辞任に追い込んだ「田中金脈報道」をトレースされているのですが、最近は安倍首相にすり寄った報道姿勢が取り上げられているのですが、田中金脈報道の時には権力を恐れずに報道に至った姿勢を紹介されています。

 最近だと「調査報道」なんていうと、「文春砲」なんて単なるスキャンダル狙いに終始していて、何とか権力の不正を正すような姿勢がでてくればいいんですけどねぇ…