トップアスリートがなぜ『養生訓』を実践しているのか/白木仁

 

トップアスリートがなぜ『養生訓』を実践しているのか (PHP新書)
 

 

 ソフトバンクの工藤監督の現役時代やプロゴルファーの片山晋呉選手のトレーナーとして活躍された方が、江戸時代の儒学者貝原益軒の『養生訓』に書かれた教訓にそってご自身の経験を紹介されます。
 
 「トップアスリート」ということで工藤選手との経験を書かれているのですが、どっちかというとご自身が深く手掛けられているゴルフのトップジュニア育成の支援をされてきた経験を踏まえた、「トップアスリート」の育て方といった趣旨の内容のことが興味深く映ります。

 『養生訓』というのは、「養生」というコトバで想像できるように、カラダを労わるといったことが主な内容なのですが、そういうことがアスリートとしてのケアにつながるというのが現代的な気がします。

 

人生の目的/本田健

 

人生の目的 ~自分の探し方、見つけ方~ (だいわ文庫)

人生の目的 ~自分の探し方、見つけ方~ (だいわ文庫)

 

 

 ホントに久しぶりに本田健さんの著書を手に取ってみました。

 久々ですが健さん節は全くブレません!(笑)

 結局は自分の好きなことの周辺に「人生の目的」があるということなのですが、成功者が少ないのは「自分の好きなこと」をする人が少ないからであり、「自分の好きなこと」をする人が少ないのは、自分の行動に自ら「制限」を加えてしまう人が多いからだということです。

 家族を養うためにとか、周期の期待に応えるためにとかで自分の意に染まぬことをしてパフォーマンスや意欲を下げてしまうからダメなようなんですが…

 そういう風に「自分が好きなこと」をするには、時折振り返って自分を見つめなおすことが重要であり、そういうことに収れんしていくことで、意外とハードルは高くないんじゃないかと、健さんの話を聞いているとかんじますが、なかなかウマくいかないですねぇ…

 

よく生きるために働くということ/岸見一郎

 

 

 『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』で一気にアドラー心理学をメジャーにした岸見先生による“働く理由”です。

 『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』では「賢人」の役割を担っていたと思われる岸見先生ですが、あれほどアドラー心理学の原理的なことをおっしゃるワケではなく(リクツっぽい「若者」も出てきませんしね…(笑))、ご自身の経験も踏まえて、アドラー心理学的に“働く”ことの意義を説かれます。
 
 この本の中で再三おっしゃられているのが「貢献感」ということで、仕事としてしていることの社会的な意義に関わらず、いかに自分が他人の役に立っているかということを感じることが働く意義だとおっしゃいます。

 モチロン家族を養うためにという意義はあるのですが、それだけではなく仕事そのものが誰かの役にたっているということを実感することが重要なようで、それを強く感じることができることが「よく生きる」ことにつながるようです。

 人間の悩みはすべて人間関係に起因するものだとアドラー心理学では言われますが、それゆえに他人に対する貢献が重要なのかもしれません。

 

人生を半分あきらめて生きる/諸富祥彦

 

人生を半分あきらめて生きる (幻冬舎新書)

人生を半分あきらめて生きる (幻冬舎新書)

 

 

 心理カウンセラーの方が語る「あきらめる」ことの意義です。

 日本人は「頑張る」ことが好きで、「あきらめる」ことに罪悪感を感じている人が多いと言われます。

 ただ、状況によっては切り替えて次のトライをした方がいいのに「あきらめる」ことへの罪悪感から「頑張り」続けることに固執したりもします。

 単に「頑張り」がムダになるだけではなくて、そういう取り組みが次第にストレスを蓄積していって精神的な疾患につながることも少なからずあるようです。

 しかも、この本が書かれた2012年というのは経済的にもドン底にあった頃で、閉塞感のある中で虚しい「頑張り」を強いられることの困難について語られています。

 だから状況を冷静に判断して、合理的に「あきらめる」ことが、より好ましい結果につながることがあるということで、そのために「頑張る」ところを厳選するという考え方を提示されます。

 何もかも頑張るんではなく、自分に一番あったところ「だけ」頑張るんでいいんじゃないの!?ということでよりシアワセになれるのかも知れませんね!?

 

人生の手引き書/渡部昇一

 

人生の手引き書 壁を乗り越える思考法 (扶桑社新書)

人生の手引き書 壁を乗り越える思考法 (扶桑社新書)

 

 

 「知の巨人」渡部さんによる“人生のアドバイス”です。

 主に困難に陥った時の対処に関するアドバイスをされているのですが、さすがに深い!とうならされるモノが多くて、結構ヘビーな内容もあるのですが、ハマって一気に読んでしまいました。

 この本の中で再三おっしゃられているのが、困難な状況に陥った時に、その状況になってしまった外部からの影響について着目するのか、自分の行動に着目するのかということがありますが、やはり究極に困難を乗り越えていこうと思えば、どれだけ外部からの影響の割合が大きくても、自分がそれに対してどうできるのかということに集中して一つ一つ対応して行くことが、その事象においても、さらには今後の人生において直面する困難への対応においても肝要なのかもしれません。

 耳がイタイところもあるのですが、自律的な人生と言うのはそういうところから始まるんでしょうね!?

 

コンビニ店長の残酷日記/三宮貞雄

 

コンビニ店長の残酷日記 (小学館新書)

コンビニ店長の残酷日記 (小学館新書)

 

 

 コンビニ経営の過酷な現状を日記形式でユーモアも交えつつ紹介した本です。

 コンビニの経営って、かなり壮絶なモノだとは聞いていましたが、ここまでとは…

 コンビニに来るお客さんにミョーな人がいると言うのは、業種は異なるにせよ小売店舗でのバイト経験からある程度想像はつくのですが、この本を読んであきれ果てるほどアコギだと思ったのがコンビニ本部のやり口です。

 本来、売上原価には売れ残りの減損分を含めて原価処理をするのが通常だということですが、コンビニ会計では売れた分に対応する部分だけを原価として扱い、売れ残りの減損分を営業費として扱い、その部分については店側の負担だということです。

 しかも店舗を監督するスーパーバイザーはやたらと店側に在庫を増やすようにプレッシャーをかけて要るようで、それも売れ残りが増えるほど本部側の実入りが増えるというカラクリ故だという…

 さらに仕入れ先の自由もなくて、何もかもがんじがらめで、かつ少しでも経費を減らすために経営者とその家族の長時間労働で補わざるを得なくなり、疲弊していくということです。

 最近ではコンビニは“街のインフラ”として重要な役割を担っていると言われますが、それも店舗経営者の一方的な負担で成り立っているようで、負担軽減を図るような施策が求められるのではないでしょうか!?

 

中小企業が海外で製品を売りたいと思ったら最初に読む本/大澤裕

 

中小企業が「海外で製品を売りたい」と思ったら最初に読む本

中小企業が「海外で製品を売りたい」と思ったら最初に読む本

 

 

 最近では、日本国内での需要の飽和ということもあり、また海外からの日本の工業製品の品質が改めて評価されていることもあり、中小企業であっても海外での製品展開が現実的な選択肢となりつつあるようです。

 ただ、限られたリソースの中で如何にリスクを軽減しつつ海外進出を図るかというのは経営者にとって、かなり難しい課題だと思うのですが、その“解”がかなりシンプルに提示された本です。

 著者は日本企業の海外での販路開拓の支援をされている方で、その経験に基づいたアドバイスを端的に紹介されています。

 カンタンに言えば何もかも抱え込むんではなくて、海外での販売を請け負ってくれる「代理店」を活用した海外展開を模索してはどうでしょう?というのがこの本の主旨です。

 そんな中で、そういう「代理店」を如何にして見つけてくるのか、どういうカタチで「代理店」と販売契約を結ぶのか、どの程度までコミットすべきなのか…等々、海外展開において気になる基本的なことを端的に紹介されているので、実際に海外での販
売を検討されている企業の経営者の方にはかなり有用な内容なんじゃないかと思います。

 こうやってどんどん日本の“ものづくり”が世界に広がって行ったらいいなぁ…