なぜあの人は定時に帰っても信頼されるのか?/能町光香

 

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(035)なぜあの人は定時に帰っても信頼されるのか? *3

 

 

 

 名だたる外資系企業でエグゼクティブの秘書を務めてこられ、現在人材育成コンサルタントをされている方の著書です。

 秘書業務なんて言うと、ついているボスの都合に合わせて仕事をしなくてはいけないので、朝早くから夜遅くまで仕事をしないといけないイメージがありますが、能町さん
はイマジネーションを働かせたら、必ずしもそうはならないとおっしゃいます。

 上司のキャラや嗜好、抱えている仕事や進め方のクセなんかをしっかりと把握した上で先回りして要求されるであろうことを予め提示できるので、自分のペースで仕事がで
きる上に評価も上がるということです。

 気配りや気遣いなんていうと相手のメリットばかりがクローズアップされますが、実は自分自身にも色んな意味でトクになることが多いと気づかされます。

 この本を読んでいて思い出したのが元リッツカールトンの高野登さんがリッツカールトンでのお客様へのサービスについて書かれた諸作で、サービス業ではないフツーのビ
ジネスにおいてもそういった気配り、気遣いというのが重要な要素になるようです。

 

*1:ポプラ新書

*2:ポプラ新書

*3:ポプラ新書

教養バカ/竹内薫

 

 

 最近、如何に教養を高めるかということについての本が多く出版されていますが、の本では“教養”について、如何に話し相手に自分の言っていることをわかりやすく話せるか、と定義して、そのための手法を紹介されています。

 自分の言っていることを相手にわかってもらうためには、相手に、自分が言っていことについて明確なイメージを浮かべてもらうことで、そのためには相手が理解できるコトバで話すことが重要だということです。

 それは難し過ぎてはいけないのはモチロンですが、カンタン過ぎてもダメだということで、その辺り相手の属性を充分に理解した上で話すことが必須だということで“教養”と言うのは、相手の状況を慮るということも重要な要素になるようです。

 

英語は「多読」中心でうまくいく!/林剛司

 

英語は「多読」中心でうまくいく!

英語は「多読」中心でうまくいく!

 

 

 「同時通訳の神様」國広正雄さんに心酔されて英語を習得し、さらには英語を教える立場になった方による英語習得法の本です。

 まあ手法としてはタイトルがすべてといえると思うのですが、長年学校で英語を勉強してもちっとも英語を話せるようにならないということで、とかく評判のよくない日本の学校での英語教育ですが、林さんによるとそれは学校の英語教育のせいではなく、単純に多くの人の習得に向けた努力が足りないからだとおっしゃいます。

 それなのにちょっと目先の新しい英語学習の手法が紹介されるとそれに飛びついて…ということで、そういう本を書いたことのあるワタクシとしては耳のイタイ所もありますが、結局はまったく英語を話すという成果につながらない…挙句の果てに、話せるようにならないのは学校の英語教育のせいだとというのは理不尽じゃないのか、とおっしゃいます。

 結局はできるだけ多くの英語を「読む」ことに尽きるというベーシックな手法が一番確実だということにはワタクシもナットクで、自分がある程度カンタンに理解できる本を、自然に暗記してしまう位、何度も繰り返し「音読」することが一番の近道なんでしょう…

 特に最初は教科書を暗記するほど音読することで、文法的に正しい文章をしっかりと自分の中にインプットすることになり、やり直し英語の手法としても理に適っていると言えると思います。

 こういうベーシックな方法が一番というのはよく理解できるのですが、問題はこういう手法に根気を以って取り組み続けられる人が限られるということでしょうか…

 

孤独のすすめ/五木寛之

 

 

 作家の五木寛之さんが高齢者向けに書かれた本です。

 タイトルに“孤独”とありますが、それ自体がメインテーマというワケではなさそうで、如何に“老い”と対峙するのか、ということが重要なテーマのようです。

 最近は人生100年時代と言われ、心身ともに元気な高齢者が多いのですが、やたらと老いを恐れる傾向が強いようです。

 五木さんは高齢になっても「山を登り」続けることにこだわるのではなくて、自らの衰えを受け入れ「山を下る」ことを味わうことの意義を語られます。

 “シルバーデモクラシー”と言って高齢者の投票率が高いことから、為政者が高齢者優遇の政策をとりがちであることや、今はまだ手厚い年金制度によって守られていることについて、可能な人は自ら自立を志向し、こういう“優遇措置”を丁重にお断りすることを奨められています。

 そうじゃないと高齢者が一種の“特権階級”と受け止められて白眼視されて「嫌老」を招きかねないということに警鐘を鳴らされています。

 まあ、極端な見方だと思われる向きもあるでしょうが、高齢者が自動車事故を起こすたびに運転免許返納を強要するような空気が出てきており、そういう方向に向かいかねないという指摘は、的を得たところがあるような気がします。

 もうすぐ高齢者の域に突入しようというワタクシにとって、もう少し慎み深くあらねばと感じるところがある本でした。

 

歴史をつかむ技法/山本博文

 

歴史をつかむ技法 (新潮新書)

歴史をつかむ技法 (新潮新書)

 

 

 先日『歴史の勉強法 確かな教養を手に入れる (PHP新書)』を読んで感銘を受けた山本さんの本を再び手に取ってみました。

 前回の『歴史の勉強法』同様、学校で歴史を勉強して来たんだけど、どこか歴史を“理解”した感が得られない人がターゲットなんですが、前回の「勉強法」のような理解するため方法論ではなくて“考え方”を紹介するという位置づけになるんでしょうか…

 歴史の学習ではどうしてもテストで点を取るために年号や人名などを記憶するようなやり方になってしまいがちなのですが、そもそも歴史の用語なんかも、後世の歴史学者などが説明をしやすいように勝手に名付けて、それが定着しているというモノが少なからずあるということで、「歴史をつかむ」という意味ではあんまり必死になってその用語や年号を覚えても仕方がないという、身も蓋もないことをおっしゃいます。(笑)

 それよりも歴史の流れ、特に転換点に着目して、なぜそこで流れが変わったのかを理解することで、歴史がつかみ易くなるようです。

 この本では度々日本史Bの教科書の記述を引用されているのですが、あまり細かいことにこだわらずに流し読みした方が、歴史がつかみ易くなるのかもしれません。

 

定年後 年金プラス、ひとの役に立つ働き方/杉山由美子

 

定年後 年金プラス、ひとの役に立つ働き方 (朝日新書)

定年後 年金プラス、ひとの役に立つ働き方 (朝日新書)

 

 

 人生100年時代と言われるようになって、いわゆる企業の定年がどうなって行くのか不透明な状況になっていますが、社会に出た時に入った会社にそのままリタイアまで勤務し続けるのさえ現実的でなくなった今、セミリタイアした後をどう生きていくのかを考えることの重要性がこれまでになく高まっています。

 この本は従来の“定年後”の過ごし方を扱っておられるのですが、“人生100年”時代をデザインするのに大きなヒントとなる生き方が多く紹介されています。

 以前ほどではないかもしれませんが、特に長年1つの会社を勤め上げた人は定年退職後に、一旦は悠々自適の生活を志向するものの、すぐにその状況に飽きて、かつ社会とのつながりに飢えて呆然自失となることが多いようです。

 そうならないためには徐々に定年退職に向けた“キャリアデザイン”をして、それに向けた準備をしていくことが必要となってくるようです。

 この本の中では資格を取得して働くとか、地域貢献に勤しむとか、NGOで働くとかといった9つのパターンごとに充実した定年後のキャリアを送っている人を紹介されているのですが、そういう人たちの生き様は、ボチボチそういうことを考えないといけないワタクシにとっても大きな刺激となります。

 これをキッカケにマジメに考えないと…

 

 

お金に好かれる極意/大村大次郎

 

お金に好かれる極意 (祥伝社新書)

お金に好かれる極意 (祥伝社新書)

 

 

 元国税調査官で『あらゆる領収書は経費で落とせる (中公新書ラクレ)』の著者と
して知られる大村さんがおカネのリテラシーを語られます。

 国税調査官として多くのお金持ちと、そうでない人と接して来られた経験から、その両者を分けるものは何なんだろうということの考察がこの本のメインテーマなんですが、そんな中でお金持ちの資質として「誠実さ」と「狡猾さ」という一見相反する要素を併せ持っていることが多いということです。

 かつ意外に思えるのがおカネの無い人の方がおカネ持ちよりもおカネに対する関心が低く、割とカンタンに財布のヒモを緩めてしまう傾向が強いようです。

 ということで大谷さんは「お金に好かれる」ための重要な要素として、おカネへの関心を高めておカネに纏わる様々なことを知ろうとする努力を怠らないことが重要だとおっしゃいます。

 そうすることによってよりおカネとの関係性が深まり、ひいてはおカネが集まっていることにつながるということです。

 おカネへの関心について大村さんは異性への関心になぞらえて追われて、すべてにおいて関心を高めるということと関係性を強めるということは同列であって、おカネについても同じようにすべきなんだということです。

 一つおカネに関する論点でビックリさせられたのが、おカネに関する本でよく論点になる“持ち家”or“賃貸”のいずれが有利かということについて、大村さんはそんなの“持ち家”に決まってるやん!的に“賃貸”を切り捨てて言うのを見て、この論点を取り上げた人が概ね歯切れが悪いというか、あれこれ考察を踏まえた上で、いや、状況に寄るんですよ…みたいな結論にもなっていない表現をする人が多い中、ちょっと意外だったりしました。

 いずれにせよ、自分の中のおカネへの方向性を見出そうとする上でたくさんのヒントが詰め込まれた本だと思うので、イマイチおカネへのイメージを捉えかねている人は、是非手に取って欲しいと思います。