日本サッカー 世界で勝つための戦術論/西部謙司

日本サッカー 世界で勝つための戦術論 (青春新書INTELLIGENCE)

日本サッカー 世界で勝つための戦術論 (青春新書INTELLIGENCE)

 南アフリカW杯が終わったこの時点で、W杯前に書かれた本がどういうことを言って
いたのかを確認するのが結構マイブームだったりします。
 この本では、タイトルからは南アフリカW杯で勝つための戦術論を示しているように、
見えますが、もっと根本的に、ずっと先、いつかW杯を制覇するために日本がとるべき
「戦略」について書かれているように思えます。

 例えば、今日本に決定的に不足している、大型FWの整備やCBの人材を豊富にする
こと、いかにしてヨーロッパのチャンピオンズリーグに出るような人材を輩出していく
かといったことを書かれています。

 ただ、ご自身も書かれているように、どちらが卵か鶏かみたいな議論をされていて、
堂々巡りになっており、具体的な処方箋を提示できているわけではありません。
 正直、割と戦術論で、「サッカー戦術クロニクル」といった好著をモノにされて
いる著者なんで、肩透かしの感があります。

 いずれにしても、岡田監督の直前の豹変はあるにせよ、W杯の戦い方を明確に予言
されているのは、「日本サッカー現場検証 (じっぴコンパクト新書)」の杉山氏だけのよう
ですね。