「事業仕分け」の力/枝野幸男

「事業仕分け」の力 (集英社新書 540A)

「事業仕分け」の力 (集英社新書 540A)

 「仕分け」の当事者による本です。
 まあ、賛否両論色々とあるとは思いますが、私個人としては手法はともかくとして、
「仕分け」を行なうこと自体には大手を振って賛成です。

 ただ、実際の仕分けの事業で、結構(マイナスの印象の)キャラの立つ方々が主導
されたためか、実際の効果に反して、あまりいい印象を持たれていない方が多いのかな
と言う気がしていて、非常にもったいないなあ、と思います。

 役所の事業って、役人自身に、手がけるあらゆる事業に関するスキルが備わっている
訳ではないのは仕方がないことなんで、ある程度外部委託をするということは、必要な
ことなんだと思いますが、委託内容の査定能力すらなくしてしまっては、効率性を求め
ようもありません。
 ましてや委託先が、官僚の天下り先で、さらにその天下り先がまた丸投げをするとし
たら、ピンはねのコストばかりがかさむということになります。

 そういう構造を払拭しようと言うのがそもそもの趣旨らしいのですが、ただただ支出
の削減への志向ばかりが目についてしまったのが残念です。

 この本では、そういう趣旨を説明されていますが、そもそもこういう本をわざわざ
読もうとする人は、それなりに政策自体に好意を寄せている人が多いはずなので、そう
いうことに頼らずに、自分の政策の意図をキチンと伝える能力を磨かないといけないん
だなあ、と思います。

 そういう意味で、小泉さんって凄かったんだなあ、と思いました。