「決定力不足」でもゴールは奪える/杉山茂樹

「決定力不足」でもゴールは奪える (双葉新書)

「決定力不足」でもゴールは奪える (双葉新書)

 いろいろと釈然としないものを感じながらも手にとってしまう杉山さんの本です。
 
 内容的に端的に言えば、「決定力不足」と言うのは、ストライカーのスキル不足
を責めるべきものではなくて、質の高いチャンスを作り出せるような戦術を浸透さ
せることができていない監督に責任があるものだといわれています。
 まあ、そのことについては、ある程度異論の無い部分ではあるのですが、だから
と言って、ドイツW杯クロアチア戦の柳沢の「例のシーン」を、ストライカーに
とって難易度の高い、と言ってしまうのは、却って信憑性が落ちてしまうのではな
いか、と言う気がします。

 発想として、トップレベルに比べて能力の劣る日本のストラーカーでも簡単に
ゴールが奪えるようなシチュエーション(ごっつあんゴール)を想定して、そう
なるように逆算して、戦術を練るべきだと言うのです。
 まあ、論理的に正しい気はするのですが、その戦術の例示自体がプアなので、
その数少ないパターンを抑えられたらどうするの?とか、ツッコミどころ満載です。

 文句をいいながらも杉山さんの本を読んでいて思ったのが、この人はアイデア
出しで、時折目からウロコの発想をすることがあるのですが、その確率もそんな
に高いわけでなく、またその発想をオーガナイズする能力に欠けているように見
受けられるので、同じ発想が何度も出てきたり、突飛な論理展開になったりして
鼻白むことになるのかな、と思います。

 ただ、時折出す目からウロコのアイデアが見たくて、ついついだまされ続けて
しまうんですけどね…