営業と詐欺のあいだ/坂口孝則

営業と詐欺のあいだ (幻冬舎新書)

営業と詐欺のあいだ (幻冬舎新書)

 著者は、効果的な営業の戦術を突き詰めて行くと、その内容は
限りなく詐欺に近づいていくと述べられています。
 著者が主催する勉強会で、一番効果的なビジネスモデルについ
て議論をされたそうなのですが、そこで出てきた結論というのが
「カルト宗教」なんだそうです。
 また、その議論の中で金儲けの手段について、倫理的・同義的
なことを考慮しなければ、金儲けほどラクなものはない、とまで
言い切っています。

 ということで、その境界については、白と黒の限りないグラデ
ーションになって、永遠に明確にはならないのですが、効果的な
マーケティングを考慮するうえで、そういった一見悪意に満ちた
手法も参考になるのだな、と思いました。

 たとえば、石井裕之氏が提唱しているコールドリーディングに
ついても紹介されていますが、使い方によっては詐欺そのものな
のですが、商談の中で非常に有効なツールになりうることを、想
定セールストークを使って紹介されています。

 久々に、橘玲氏の諸作を読んでいる時のような、ゾクゾクする
ようなスリルをもって読めました。