- 作者: 山際淳司
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1985/02
- メディア: 文庫
- 購入: 9人 クリック: 62回
- この商品を含むブログ (88件) を見る
現在のスポーツライティングの、ある意味草分け的存在のスポーツライ
ティングに於ける処女作です。
先日、『スポーツライターになろう!』を読んでいて、山際淳司氏の
影響を悪く受けたライターたち…みたいな書き方をされていたので、
気になって久々に手にとってみました。
悪影響について、山際氏のポエティックな書き方を表面上だけ真似て、
云々と言うことを書かれていたのですが、確かにそういう書き手がいる
なあ、と…
確かにマネをしてみたくなる気持ちはわかるんですよね。
何となく見た目がキレイになる部分がありますからね。
でも、山際氏のスポーツライターとしての凄みというのはそこにある
のではなく、代表作である『江夏の21球』に見られるような、ある意味
「シロウトの開き直り」も含めて、徹底的にディーテールに着目して、
その心理的な動きを描写したところではないのでしょうか?
ただ、それってやっぱりかなり書き手にしても、取材される側にしても
負担が大きいでしょうし、そういう題材の対象となる人がそこまで対応し
てくれることも少ないでしょう。
山際氏にしても、その後『江夏の21球』に類するような作品を手にして
ないですし、彼のエピゴーネンが形だけ真似た、爽やか系の作品を多く
世に出しています。
ま、個人的にはそれも好きなのですが、スポーツライティングの本質から
すると傍系ですよね。