そうか、君は課長になったのか。/佐々木常夫

そうか、君は課長になったのか。

そうか、君は課長になったのか。

 うつ病の妻と自閉症の長男を抱え、毎日6時には退社しないといけない状況の中、課長に
なりながら、徹底した業務効率向上で、とうとう東レ経営研究所の社長にまで登りつめ、
ワークライフバランスのアイコンとなった方の著書です。

 この本では、かつての部下が課長になったという手紙を受け取ったという設定で、折に
触れて、課長としての心得を諭すと言う感じの内容で、著者が読むことを推奨している、
ビジネスマンの父より息子への30通の手紙 新潮文庫』を彷彿とさせる読み応えになっています。

 佐々木さんは、仕事におけるチームと言うのは家族みたいなものだと言われており、
家族と接するように、上司、部下、同僚と接することが、パフォーマンスの向上につながる
と考えられているようです。
 その中には、個々の個性や、抱えた事情を尊重するとか、時には厳しく叱責するとか、
あたかも自分の息子や娘に接するように、大事にしながらも、成長してもらうためにどうす
ればよいか、ということを考えていくようにすれば、バランスの取れた対応ができる、と
おっしゃられているように思えました。

 あと、プレイングマネージャーとなることを戒めておられています。
 部下が働きやすい環境を提供することは、片手手間でできるような仕事ではない、という
理由だからだそうです。

 何か、心温まるものを感じさせながらも、背筋が伸びたような気がする、不思議な、でも
心地よい読後感を感じさせる本でした。