ミケルスの「勝つチーム」作り/リヌス・ミケルス

ミケルスの「勝つチーム」作り トータルフットボール&バルセロナの原点

ミケルスの「勝つチーム」作り トータルフットボール&バルセロナの原点

 クライフとともにトータル・フットボールを築き上げ、バルサを代表とする現代の攻撃サッカーの
原点を作り上げた、「20世紀最優秀監督」リヌス・ミケルスの著書です。

 てっきり、戦術的な話なんだと思っていたのですが、選手のマネジメント、クラブ運営に関する
こと、マスコミへの対応、ユースの育成など、おおよそ現代のクラブチームが気にしないといけな
いことが網羅されています。

 意外と、戦術に関する内容については、通り一遍と言うか、想像できる内容なんで、そんなに
面白くないです。
 ただ、ポゼッション・サッカーの開祖とも言える、ミケルスが、ある局面に対処する可能性に
備えて、ロングボールの蹴り込みなんかも視野に入れて、トレーニングをしていた、というのは
ある意味で、その慧眼に恐れ入ったしだいです。

 それよりも面白かったのが、チームマネジメントのところで、アヤックスバルサ、オランダ
代表の監督をしていた頃の、スタープレーヤー達との暗闘を赤裸々に描いていて、妙にワクワク
させられます。
 さらに、スタープレーヤー達がマスコミを巻き込んで、自分の立場を有利にしていこうとする
のに対し、毅然とした態度で立ち向かう姿が印象的です。

 戦術的な面ばかりが取り上げられがちなミケルスですが、どっちかというとマネージャーとして
の才能の方に、もっと焦点を当てられた方がいいんじゃないか、と思わされる本でした。