人は誰もがリーダーである/平尾誠二

人は誰もがリーダーである (PHP新書)

人は誰もがリーダーである (PHP新書)

 元ラグビー日本代表監督って言うか、未だにラグビー界のアイコンの一人
である平尾さんの著書です。

 平尾さんのモチベーション論って、従来の日本スポーツ界に蔓延る根性論
とは一線を画していて、神戸製鋼が強かった頃のインタビューで語られて
いたことを読んで、凄く感銘を受けた記憶があります。

 この本は、2006年のサッカーのドイツW杯で、日本代表が実力を出し切れず
に敗退したことを受けて、話を始められています。

 マネジメントの巧拙はそのチームを詳しく知らないんで言及しないとして、
と前置きをされながら、「内発的なモチベーション」を刺激したジーコ
チームマネジメントは、「外圧的なモチベーション」喚起をベースとした
トルシエのチームマネジメントより、長い目で見るとチーム力の強化に、より
適していると、平尾さんは言います。

 ご自身も、同志社大学で、岡先生の自主性を尊重する教育方針の下で成果
を出した影響からか、強制力で「型」に嵌めるアプローチよりも、選手自身
が自分で、どうやったらいいかを自主的に考えて、やりたいと思った方向性
で取り組むことの方が、より強い意欲を持ってとりくめることから、成果が
でやすい、と考えておられるようです。

 ただ、これまでのスポーツ界では、野球に代表されるように、指導者側が
しっかりと管理をして…というやり方が主流でしたが、サッカーやラグビー
のような流動性の高い競技では、そういう自主性を二の次にしたやり方では
成果を出すのは難しいようです。

 そういった状況は、実は日本社会でも出始めていて、「管理」による
マネジメントより「自主性」を尊重するマネジメントの方が、不確実性の
高くなった現在ではふさわしいのではないかと、説かれています。

 もっともっと触れたいことがあるのですが、スポーツやマネジメントに
関心のある方は、是非是非、一読してみてください!