サッカーとイタリア人/小川光生

サッカーとイタリア人 (光文社新書)

サッカーとイタリア人 (光文社新書)

 イタリア各地のダービーマッチの紹介を中心に、イタリアにおける「カルチョ」を
取り巻く紹介した本です。

 まずはミラノダービーから始まって、ナポリマラドーナの邂逅、中田ヒデを迎えた
ペルージャの様子、最後はローマダービーという事で、くまなくイタリア中を旅行して
いるような気にさせられます。

 それぞれの地域に、「カルチョ」にまつわる悲喜交々のストーリーがあって、100年
以上にわたって積み重ねられた歴史の重さをヒシヒシと感じさせられます。

 で、Jリーグでも「ダービー」という言葉が使われますが、やっぱりちょっと違う
気がするのは、そういう「重み」の差なんだなあ、と…

 そういうところが、日本のサッカーファンとして、結構コンプレックスになっている
ところだったんですが、著者の小川さんは、巨人ファンに反目する阪神ファンのことを
引き合いに出されて、イタリアの3巨人(ユーベ、ミランインテル)への反目を書か
れていたのを読んで、あー、そういえば日本にもスポーツ文化が皆無ではないのだ、と
思い出させてもらって、ちょっと救いになった気がします。

 いつか、日本でもサッカーでそういう「文化」が重ねられるといいですね。(「血」
の部分は、別として…)