会社に人生を預けるな/勝間和代

会社に人生を預けるな リスク・リテラシーを磨く (光文社新書)

会社に人生を預けるな リスク・リテラシーを磨く (光文社新書)

 『お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)』との絡みで
こういう挑発的なタイトルになったんだと思うのですが、「会社に人生を預ける」こと
がメインテーマではなくて、副題の「リスク・リテラシーを磨く」ことがこの本を通じ
てのテーマとなります。

 特に日本人は、リスクに対してかなりネガティブなイメージを持っており、リスクと
言うと「避けるべきもの」と考えている人が多いようです。

 しかし、リスクというのは「変動幅」みたいなもので、どんなに安定的に見えるもの
でも、「ゼロ」になってしまうリスクはつきまとうもので、ちゃんとそういう「リスク」
を見極めて、「リスクを取っている」という認識を持つことが、まずは第一歩だという
ことで、「見て見ないふりをする」ことがリスクに対する最も危険なスタンスだとおっ
しゃいます。

 勝間さんは、そう言う意味で、「会社に人生を…」とおっしゃっておられ、特に日本
年功序列制に基づく長期雇用慣行に対して、ちゃんと「リスク管理」をする必要がある
と警鐘を鳴らされています。

 特に、源泉徴収・年末調整制度は、日本人の大多数を占める給与所得者のリスク意識
を著しく低下させている根源として、廃止を強く勧められています。

 国家に、モノを考えない国民にされてしまっているんだなあ、ということでちょっと
コワイ気にさせられました。