おかんの昼ごはん/山田ズーニー

 この本も、糸井重里さん主宰の「ほぼ日イトイ新聞」というサイトの
「おとなの小論文教室。」という連載コラムをまとめた本です。

 今回のテーマは、サブタイトルにもある通り、「親の老い」、「本当
のワタシ」、「仕事の選択」です。

 この中でも、ページ数も圧倒的に多いのもあるのですが、メインのタイ
トルが示唆するように、「親の老い」に関するトピックが一番印象に残っ
ています。

 ワタクシも40代半ばに差し掛かり、周りの同年代の親が亡くなると言う
話をボチボチ聞き始めるようになっています。

 まだ、ウチの場合、急にどうこうと言う状況ではないのですが、母親が
ひとりで生活していると言うこともあって、こういう話になると身に詰ま
される想いがします。

 この本でも、地方に親を残して、東京や大阪で仕事を持っている人が
実家に帰ったときに、複雑な思いをしたあまり、冷淡に対応してしまった
話が書かれていますが、ワタクシ自身、そういう対応はしないまでも、
そうしてしまう気持ちはなんとなく理解できます。

 ただ、そうやって正面から向き合わなかったが故に、親が亡くなって
しまってから、悔恨を抱き続けている人の話も取り上げられています。

 ワタクシ自身、どうしようという答えは無いのですが、ズーニーさん
がおっしゃるように、「親の老い」と言うのは、親の「最後の教育」と
いう表現に激しく同意してしまいます。

 この話があまりに深くて、一緒に読んでしまうと、後のトピックの、
「本当のワタシ」と「仕事の選択」が浅薄に思えてしまう(それは、
それで重いテーマなんですが…)のが難点ですが、ボチボチ、親の老い
に直面する人には、是非一読していただきたい本です。