日本人というリスク/橘玲

 元々、『大震災の後で人生について語るということ』と言う本だったのを、
文庫化するにあたって加筆修正して、この本になったということです。

 以前、紹介した『(日本人)』と対をなす本で、あちらが
日本人論であるのに対し、こちらが人生設計論なんだそうです。

 ただ、日本人の人生設計を語る上で、日本の社会について語る部分がある
ので、多少内容が被る部分はあるのですが、結論に導く過程での扱われ方が
異なるので、寧ろ違う側面が伺えて興味深いくらいです。

 一般に言われるとおり、日本人というのはリスク回避型の選好があると
言われますが、過去の神話を引きずってか、「長期に渡って同一の企業に勤める」
「マイホームを購入する」という、今となっては非常にリスクの高い選択をする人
が多いことを指摘されています。(余段ですが、この本に書かれている程、「持家
vs賃貸住宅」の論争に明快な論拠を示している例を見たことがありません。)

 日本の国家としての財政が着実に破滅への進んで行き、経済が「バザール化」
してしていく中で、如何に「経済的独立」を図るか、ということへと論は進んで
行きますが、あえてここでは書かないでおきます。