はじめででもわかる財務諸表/小宮一慶

 小宮さんの財務諸表に関する本としては、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』
を始めとして、何冊か出版されていて、「1秒!」シリーズはよく売れているよう
ですが、このシリーズは、ある程度会計の知識に疎い人にでもわかるように工夫は
されていますが、全くの初心者には本質的なところはわかりにくいかもしれません。

 先日紹介した、「さおだけ屋」山田真哉さんの
問題です。2000円の弁当を3秒で「安い!」と思わせなさい』を曲がりなりにも
読みこなして、会計のごく外形的な知識を得られた人に、この本はオススメです。

 小宮さんの本にしては、ちょっと教科書的で、ある程度以上の知識のある方が
見るとあんまり面白くないかもしれないし、逆に、定型的なセオリーから外れて
いる部分もあるので、違和感を感じる部分もあるかもしれません。

 特に、初学者にわかりやすいように、各財務諸表について、

・損益計算書:「収益性」
貸借対照表:「安全性」
キャッシュフロー計算書:「将来性」

を見る、とバッサリ切り分けておられるのですが、損益計算書の「収益性」は、
まあいいとして、CF計算書の「将来性」については???という感じですが、
そのココロを知りたい人は、この本を読んでみてください!(笑)

 ただ、ファーストリテイリングや、トヨタなど、誰もが知る企業の実際の
財務諸表を用いて解説をされているところや、「手元流動性」といった実務色
の強い指標を紹介されているところなど、単なる教科書にとどまらない記述も
あるので、ひとしきり会計を学んだ人の復習用にもいいかも知れません。