ヒディンク・コリアの真実/慎武宏

ヒディンク・コリアの真実

ヒディンク・コリアの真実

 2002年の日韓W杯における韓国代表の内幕をヒディンク監督を中心に
描いた本です。

 あまりにもベスト4という結果が鮮やかだったので、順調にチームを
仕上げてきた印象がありましたが、文化的な衝突や、サッカー感の違い
からくる葛藤など、いろんなことがあったんだなあ、と思うと同時に
最終的に結果につなげるあたりのヒディンク監督の手腕のスゴさに驚き
ます。

 よく、用兵の手腕について言われるのですが、選手の人心掌握の巧さ
があっての用兵の成功なんじゃないか、とこの本を読んで感じます。

 そのクライマックスが、決勝トーナメント1回戦のイタリア戦なんじゃ
ないでしょうか…

 試合前に、共催国であり因縁のライバルである日本のベスト16敗退
が決まって、選手のあいだにホッとした空気が流れたところに、ヒディ
ンク監督が言ったと言われる“I'm still hungry!(俺は、まだ満足して
いないぞ!)”という激に、監督自身が弛緩してしまった日本との差を
感じます。

 試合でも、イタリア相手に先制されて、まあ、ノルマは果たしたし、
負けてもしょうがないか、と思いかねないところに、次々とDF→FWの
選手交代をして、「攻めろ!」というメッセージを出し続けて、最後に
は逆転勝利をしてしまう…ワタクシのことで恐縮ですが、あまりにこの
試合に感動した挙句、2002年W杯では、日本の試合じゃなくて、韓国の
この試合のDVDを買ったくらいです。

 日本が最低限の結果しか出せなくて、韓国が躍進したことに微妙な
意見もなくはなかったと思うのですが、個人的には未だに、ホントに
素晴らしい成果だったな、とニヤニヤしながら読み返した次第でした。
(笑)