「持たない」ビジネス 儲けのカラクリ/金子哲雄

 『僕の死に方 エンディングダイアリー500日』で話題を呼んだ金子哲雄さん
の生前の流通ジャーナリスト
としての著作です。

 みなさんも「ファブレス」といった言葉を聞いたことがあるかも知れませ
んが、現在、製造業であっても製造設備を持たない企業が増えてきていると
言うことです。

 なぜそういう「持たない」というビジネスモデルが重視されるかというと、
現在のビジネスの流れが加速している状況の中で、ある特定の商品に依存し
た固定資産を持っているということが、ビジネスの固定化につながり、ニー
ズの変化に機動的に対応することができず、ビジネスチャンスを逃し、やが
て、衰退していってしまうリスクを内包しているからだということです。

 そういった文脈で、「持てる」企業であったダイエーと「持たない」企業
であったイトーヨーカドーという同業同士の比較で、残酷なまでにその成果
に現れています。

 また、個人の持ち家と賃貸も同様の文脈で、リスク対応の容易さという
ことも含めて「賃貸」の優位性を語られています。

 確かに、効率や機動性を考えるとおっしゃることに全面的に同意なんです
が、感覚的に納得できないのは、ワタクシの中の旧来の日本人が為せる業な
んでしょうかね…