理系の企画力!/宮永博史

理系の企画力!-ヒット商品は「現場感覚」から (祥伝社新書167)

理系の企画力!-ヒット商品は「現場感覚」から (祥伝社新書167)

 東京理科大学のセンセイが書かれた、技術者観点からの商品企画に
関する本です。

 よく技術者は、自分たちの技術に拘泥するあまり、市場で受け入れ
られる商品を企画することが苦手だと言われますが、かといって営業
側も、どういう商品が市場で求められているのか、ということをちゃ
んと把握しているか、というと、????なところがあります。

 で、技術者が如何にして、「売れる」商品を企画できるのか?とい
うことについて、どういう切り口で企画を考えるか、ということの
ヒントが9つのジャンルに分けて、それぞれで成功した企業の実例を
紹介しながら、「切り口」の見出し方、また、その「切り口」に、
如何にして、自分たちの技術を活用していくか、という観点を紹介
されています。

 80年代後半〜90年代前半にかけて、コモディティ化した製品が売
れなくなって、シーズ志向からニーズ志向への移行とか、プロダクト
アウトからマーケットインへのパラダイムシフトとかが言われたの
ですが、今や、ニーズ志向もマーケットインも、そもそも何がニーズ
なのかが見えにくくなっている状況の中で、機能しにくくなっている
んじゃないかと思われます。

 そういう状況の中で、徹底的に消費者が、日常の生活の中で自分た
ちの製品を使う上で、どういうモノが求められるのか、ということを、
開発する技術者自身が実感を持って、どのようにそれを解決していく
のか、ということと向き合うことで、「あ、そういうものが欲しかっ
たんだ!」という「ニーズを作り出す」という発想になるのが、現時
点での、究極のマーケティングなのかな、とこの本を読んで思いました。