手作り弁当を食べている場合ですよ/日垣隆

 久々に日垣さんの本です。

 あちこちの本に書かれた文章を集めているので、コレといったガチッと決まった
テーマというのは無いといえば無いのですが、副題にもあるように、「格差」を
始めとした、この本が書かれたであろう、2010年上半期にあった社会的な問題を
題材に書かれたエッセイ集といった感じです。

 「格差」が、全体として明確に出ているわけではないのですが、今の(という
か3,4年前の)日本における「権威」の理不尽さと、じゃあ、それにどう対処して
行くか、ということに、度々言及されています。

 どうしても我々は、ある事象に対して、あんまり多面的なモノの見方ができて
いなくて、ほとんどの場合、一面から見たことに対して、極端に反応してしまっ
て損をする、ということがあるようですが、こっちから見るとどうなるんだろう、
と考えてみようとするだけでも、見えることが格段に多くなる傾向があるようで、
そうなると選択肢自体も多くなっていくようで、その分、損をすることも減って
いくようで、多面的な思考をすべき、と言うことを頭の片隅に置いておくだけで
も随分変わってくるんだなあ、ということが印象に残りました。