私の教え子ベストナイン/野村克也

私の教え子ベストナイン (光文社新書)

私の教え子ベストナイン (光文社新書)

 「また、ノムさんが教え子を食い物にして!」…この本が出版され
た時のワタクシの偽らざるリアクションでした。

 でも、ノムさんが誰をベストナインに選ぶのかって、メチャメチャ
興味はあるのですが…という葛藤の末、図書館にあったので、アッサ
リ手に取ってみました。
 
 結論から言うと、面白かった!

 というのも、ビミョーに自慢を織り交ぜつつも、ベストナイン
ベストナインでちゃんと選んでいるのですが、これまでの指導歴の
中で、印象に残った教え子についての論評をされているのですが、
これが、意外と「暖かい」んですよねぇ…ワタクシの勝手なイメー
ジなんですが、結構野村監督って、結構功利的な印象があって、
活躍してナンボみたいな見方をするのかな、と思っていたのですが、
ビンボー球団や弱小球団を渡り歩いたからか、どうにかコイツに
芽を出させてやる手立てはないものか、という目で選手に接して
おられるようです。

 あとは、選手〜プレイングマネージャーをされている時に、同僚
だったブレイザーからメジャーの野球をちょっとでも取り込んでや
ろうという貪欲な姿勢も印象深かったです。

 もう一つ嬉しかったのが、ワタクシ個人的には、全盛期の伊藤智仁
は史上最強の投手だと思っているのですが、野村監督も、自分の教え
子かつ先発投手という縛りながらも、伊藤智仁をナンバーワンだと
されていたことでした。
 故障が多く、悲運の投手とも言われ、こういう評判を得ても慰め
にもならないのかもしれませんが、これで伊藤智仁が少しでも忘れ
られにくくなったかと思うと、嬉しかったです。