星ヶ岡のチンパンジー/川上徹也 with ぎんなん

 

 

 岡の上のあまり恵まれたとはいえないロケーションで、家庭料理を
売り物にしたレストランを開いた不器用な主人公が、自分の「ストー
リー」を見つけて商売を軌道に乗せる過程を描いた本です。

 要は、川上さんが提唱する「ストーリー・ブランディング」を文字
通りストーリー仕立てで語ったものです。

 とかく、商売をしていると、目の前のお客さんや競合などに目が行
ってしまって、そもそもなんでこの商売をしたかったんだっけ?みた
いなことは忘却の彼方に行ってしまいがちなんですが、お客さんの
強い支持を得るためには、実はそこが大事なんじゃないか?という
ことで、それが「自分がお金儲けをするため」とかだったら、ダメだ
と思うのですが、「癒しの空間を提供する」とかといった、お客さん
にとっても、ああ、それっていいよね!って思えるようなものであれ
ば、あんまり価格とかを気にせずに集まってきてくれるもんだ、とい
うことで、いつもの「ストーリーの3要素」をちりばめたストーリー
で、競合に叩きのめされ、そこから立ち直って原点に立ち返り、ホッ
とできる家庭料理を提供する空間でお客さんの支持を集め始める…と
いうことになっています。

 カネやモノも大事ですが、ココロよりは価値は高くないはず、とい
うことかもしれません。