あの演説はなぜ人を動かしたのか/川上徹也

 

あの演説はなぜ人を動かしたのか (PHP新書)

あの演説はなぜ人を動かしたのか (PHP新書)

 

 

 「ストーリー・ブランディング」の川上さんが、ご自身が提唱する
「ストーリーの黄金律」に照らして、歴史に残る名スピーチがなぜ
人々の心を動かしたのか、ということを検証した本です。

 おさらいですが、川上さんが提唱する「ストーリーの黄金律」とは、

 ①何かが欠落した、もしくは欠落させられた主人公

 ②主人公がなんとしてもやり遂げようとする遠く険しい目標・ゴール

 ③乗り越えなければならない数多くの葛藤・障害・敵対するもの

を兼ね備えた「ストーリー」に人々が心を動かされるということです。

 検証のネタになっているのが、ケネディフランクリン・ルーズベルト
の大統領就任演説から小泉元首相の「郵政解散」時の演説まで多岐に渡
っています。

 個人的には、マーチン・ルーサー・キングJr牧師の1963年のワシン
トンDCでの、かの有名な“I have a dream”の演説を取り上げてくれ
ていたのが嬉しかったのですが、この本の最後に取り上げられていて、
まさに、完璧に「ストーリーの黄金律」にハマッているようです。

 日本語で読んでいても、キング牧師が高揚して振るえた声での演説
が思い起こされて、電車の中で読んでいて、涙が出そうになって困りま
した…