本屋さんで本当にあった心温まる物語/川上徹也

 

本屋さんで本当にあった心温まる物語 (心温まる物語シリーズ)

本屋さんで本当にあった心温まる物語 (心温まる物語シリーズ)

 

 

 “ストーリー・ブランディング”の川上さんの本ですが、今回の本では、
あんまり“ストーリー・ブランディング”のことは前面には出てきません。

 ちょっと、タッチとしては福島正伸さんの本を思わせるような、心温まる
ショートストーリーを集めた本です。本屋さんとそこを訪れるお客さん達の、
人と人としての交流を描いたモノで、ベースには“ストーリー・ブランディ
ング”の考え方は息づいています。

 本離れが進んでいて、本屋さんの売り上げも下降基調にあり、特に中小の
本屋さんの経営は相当キビしい、ということも描かれていますが、お客さん
とのつながりを持つことで、その逆境を乗り越えるヒントがあるんじゃない
か、ということが “ストーリー・ブランディング”的には出てくるかな、
と思っていたのですが、この本ではあくまでも「絆」を前面に出されています。

 本屋さんに勤めている人って、本が好きな人である確率が相当高くて、
本に関する知識も相当高いと思うのですが、イマイチそれがお客さんにメリ
ットをもたらすことが少ない気がするのですが、そういうことを発信して
お客さんとのつながりを持っている例がいくつか紹介されています。

 ビジネス的なことは背面に隠れていますが、そういうヒントとしても読
める“心温まる”話でした。