中国経済の正体/門倉貴史

 

中国経済の正体 (講談社現代新書)

中国経済の正体 (講談社現代新書)

 

 

 先日、門倉さんの2008年出版の中国経済をテーマにした著書を取り上げ
ましたが、こちらの本は2010年出版の中国経済をテーマにした本です。

 日本で報道されている内容では、中国に対する複雑な感情を反映してか、
どうも中国経済を過小評価したがる傾向があるような気がしますが、もは
や中国経済は、世界経済において、米国と並んでG2と言ってもいい存在
感を示してきていることを、この本では示唆されています。

 確かに、バブル的な様相を呈している現象も見受けられますし、金融
システムには、西欧諸国と比較すると危ういところがあるのも確かなの
ですが、その中でこれだけの規模を実現していることについて、しっか
りと評価すべきだということと、日本人が“望む”(?)通り、中国経済
がクラッシュしたとしたら、その影響は“世界恐慌”に繋がりかねない
リスクがある、ということを冷静に理解しなくてはいけない、というこ
とです。

 その上で、門倉さんが最大のリスクとして指摘されているのが、中国
民主化への移行における経済へのインパクトということです。

 早晩、民主化へのカジを切ることが想定される中国ですが、その際に、
この経済規模を維持できるのか、それについてはあまり多くを話されて
いません…と言うか、予想できない部分が多いんでしょう…

 中国の国民にとって、民主化は大きな望みなのかもしれませんが、
この本を読んでいると、世界経済へのあまりに大きなインパクトを考え
ると、大手を振って賛成できない、複雑な感じです…