「負け」に向き合う勇気/杉山茂樹

 

 

 サッカーライターのスギヤマさんが、ブラジルW杯直前に
出版された本です。

 どこぞのテレビ局が、親善試合だろうがなんだろうが、
「絶対に負けられない闘い」と煽って、日本代表の試合を
無用に盛り上げようとしていますが、そういう勝利至上主義
が、日本人のサッカーを観る目を向上させるのを阻害してい
る、ということです。

 一部の代表選手が、W杯では優勝を目標としている、と言
っているのを間に受けてか、それに乗っかってか、W杯の優
勝の可能性を云々するようなネゴトを言っているメディアも
見かけますが、今の時点で日本の実力から言って、ほぼ100%
間違いなく、どこかで負けることになるはずだ…それは、ご
くひと握りの強豪国を除けば、どこも同じ…だから、言って
みれば、W杯のひとつの側面として、如何に美しく散るか、
を競う要素がある、と書かれています。

 この辺は、スギヤマさんがクライフの影響を強く受けている
ところから来ているのでしょうけど、ガチガチにゴール前に
壁を築いて、最後の最後にこじ開けられて負けるのと、強豪
相手に堂々と撃ち合いをした上で惜敗するのと、我々の満足感
も違うことでしょう。

 まあ、それでサッカーは体操やフィギュアスケートのような
採点競技に通じるところがある、というのにはついていけない
んですけどね…

 妙に、世界基準というか、ヨーロッパ基準ばっかりを押し
付けようとするところが、ハナにつくところは否定できない
までも、久々にスギヤマさんの言っていることに、不承不承
ながらでも納得してしまいました。