世界で勝たなければ意味がない/岩渕健輔

 

 

 ラグビー日本代表のGMを勤められている岩渕さんの2012
年の著書です。

 この時は、2011年のW杯を結局未勝利のまま終えて、エデ
ィー・ジョーンズHCとの体制になって間もない頃の本なの
ですが、2019年の日本でのW杯に向けての強化についてお話
されているわけですが、相当な危機感を感じさせる内容にな
っています。

 というのも、岩渕さんが現役の頃は、まだサッカー人気が
それほど盛り上がっていない頃で、ラグビーの方が人気の面
では、相当先行していたのですが、現状を見ると…ドル箱
だった早明戦などの大学ラグビーでもなかなか苦戦している
状況のようです。

 そんな中で、日本ラグビーも世界のトップ国に伍して戦え
るということを示して、再びラグビー人気を取り戻そうと
いうことなのですが、この時点では、まだ相当悲愴な覚悟を
うかがわせます。

 その後の話をすると、岩渕―ジョーンズ体制の日本代表
は相当な成果を上げており、今年に予定されているイング
ランドW杯では、初の決勝トーナメント進出を窺えるとこ
ろまでこぎつけています。

 そのためには、ラグビーの原点的な“楽しさ”と言うもの
をあらゆるレベルで思い起こさせるようにしなければ…とい
うことのようです。

 そういう志向があるからなのか、岩渕さんにせよ、かつて
の代表監督であった平尾さんにせよ、ワセダやメイジといった
伝統校の方が就任させるケースが少ないってことなんですかね…