オシム終わりなき闘い/木村元彦

 

オシム 終わりなき闘い

オシム 終わりなき闘い

 

 

 オシム元日本代表監督が、脳梗塞で倒れて日本を去って
以降、ボスニア・ヘルツェゴビナサッカー協会の正常化に
尽力し、ついには、ボスニア・ヘルツェゴビナがブラジル
W杯に出場するまでを描いた本です。

 旧ユーゴスラビア諸国では、民族ごとに独立国家を樹立
することになったのですが、ボスニア・ヘルツェゴビナ
けは、その国内に未だに複数の民族を抱えていて、多くの
団体が各民族の利益代表を送り込んで、サッカー協会では
それぞれの民族が代表として並立した形だったものを、FI
FAが問題視し、統一した代表としない限り、ボスニア・ヘ
ルツェゴビナ代表を対外試合から締め出すという決定をし
たのですが、その正常化に立ち上がったのが、脳梗塞から
未だ完治しないオシム氏だったのです。

 旧ユーゴスラビア諸国間の民族紛争についても、改めて
紹介されているのですが、昨日までの隣人と殺しあわなけ
ればならない状況の中から、複雑な心境を抱えながらも、
代表チームをW杯に送り出すに至っては、直接関係のない
日本人であるワタクシもアツイ思いがこみ上げてきます。

 再び、こういう理不尽なことの無いようにと祈るばかり
です。