「言語技術」が日本のサッカーを変える/田嶋幸三

 

「言語技術」が日本のサッカーを変える (光文社新書)

「言語技術」が日本のサッカーを変える (光文社新書)

 

 

 川淵氏の腰ぎんちゃくとか、とかくサッカーファンからは評判
のよくない田嶋氏ですが、この本はなかなかいいことを書かれて
います。

 ドイツW杯準決勝のイタリア対ドイツ戦で、イタリアが退場に
より10人になった時、誰もベンチを見なかったというエピソード
が冒頭で紹介されています。

 おそらく、日本人だったらベンチというか監督の意図を気にし
てベンチを見る、ということなんだと思うのですが、いわゆる
サッカーの先進国の選手たちは、一つ一つのプレーについて、意
図を持ったものであることをトレーニングされているので、そう
いう状況に陥っても、意図を持ったプレーができるから、ベンチ
を気にする必要がない、ということなんでしょう。

 日本でも、そういう選手を育てようということで、論理的思考
ができるようにトレーニングして、プレーにおける判断力を上げ
て行こうということで、ジュニアの世代を育成するとともに、
監督のライセンスにおいて、選手に対する説得力を上げるために、
論理的な説明ができるようにトレーニングされているということ
です。

 外国人の監督から、日本人は判断のスピードが遅い、とよく
言われるようですが、それに対する的確な対策だなあ、と思い
ますね。