「就活」と日本社会/常見陽平

 

「就活」と日本社会―平等幻想を超えて (NHKブックス No.1227)

「就活」と日本社会―平等幻想を超えて (NHKブックス No.1227)

 

 

 楠木さんの就活本で紹介されていたので、手に取ってみました。

 どうやら著者の常見さんが修士論文として書かれたものがベー
スになっているということで、結構堅い学術的な本になっていて、
多少読みづらいところはありますが、興味深い内容です。

 まず、いわゆる「就活」ということで、新卒一括採用という世
界でも例を見ない採用形式をとっている日本企業なんですが、主
に採用する側からの論理で、どういう功罪があるのかということ
にアプローチされています。

 また、Job Descriptionというカタチで、職務内容を詳細に至る
まで明確に定義して、その職務への適性を元に採否を判断する欧
米、特にアメリカとは異なり、日本企業の採用基準のあいまいさ
がどういうところから来るのか、ということについても触れられ
ています。

 その採用基準の中で、“学歴フィルター”という公然の秘密に
ついて触れられているのですが、どうしても情緒的な選考になっ
てしまう中で、応募者のせめてものシグナルということで、大企
業を中心に隠然とした影響力があるようです。

 面白いのが、中小企業における“学歴フィルター”もあるよう
で、あんまりレベルの高い学生にウチに来られても…という“逆
フィルター”的に作用することもあるようです。

 次年度から就活の期間が短くなるようで、就活生のみなさんも
ピリピリされるところもあるかと思いますが、こういった本を読
んで相手の手の内を垣間見るというのも、いいかもしれませんよ
…(笑)