東京マラソンの舞台裏/川端康生

 

東京マラソンの舞台裏―東京を3万人が走るまで

東京マラソンの舞台裏―東京を3万人が走るまで

 

 

 第2回が終わった時点で書かれたようなのですが、東京マラソン生誕
の裏側を紹介した本です。

 ワタクシも2014年にラッキーなことに走らせてもらったのですが、今
まで、10回フルマラソンを走った中で、群を抜いて運営の行き届いた大
会だという感想です。

 当時の石原都知事の肝入りで始まった東京マラソンですが、コースを
決める時の、陸連や警察とのやり取りや、決まってからの運営面での
仕組みづくりなど、気が遠くなるほど、細かいことを積み上げて、あの
素晴らしい大会が出来たのかと思うと、感動を禁じえません。

 第2回大会が終わった時点での出版なんで、今後続けて行くことの重
要性を強調されるトーンが強く出されているのですが、その後の発展に
ついては周知のとおりです。

 日本人の意識として、“体育”としてのスポーツが、“文化”として
のスポーツに移行する契機だという指摘がこの本の中で、関係者のコメ
ントとして紹介されていますが、立派にその役割を果たした感がありま
す。

 時折、ランナーの中には、ちょっとした不満をボランティアにぶつけ
ている人を見かけますが、そんな人には、是非この本を読んで、マラソ
ン大会を走らせてもらえるのが、如何にありがたいことなのかを肝に銘
じていただきたい、と痛切に感じさせられる本です。