ドラッカーと会計の話をしよう/林總

 

ドラッカーと会計の話をしよう

ドラッカーと会計の話をしよう

 

 

 つぶれそうなイタリアンレストランの店主が、売却の交渉
のために乗った飛行機で、ダブルブッキングでファーストク
ラスにアップグレードされたことで、伝説の小売りチェーン
の創業者と同席することになり、ドラッカーの著作に基づい
たアドバイスを得る、と言ったストーリー仕立ての会計の本
です。

 最低限の会計の知識があれば、ある程度面白味が分かる本
なのですが、管理会計にドップリ浸かっている人には、かな
りショッキングな内容かも知れません。

 ドラッカーは、短期的な「利益」追求に汲々としていると、
会社の存続そのものを危うくする、とまで言われています。

 というのも、「利益」と言うのは、簡単に「作る」ことが
できるもので、しかも、経営の「成果」を正しく測ることが
できないんだ、ということです。

 究極の企業の目的について、ドラッカーは「存続し続ける
こと」だということですが、「利益」追い求めることは、そ
の究極の目的を蔑ろにしかねない、ということです。

 例えば、ある会計年度に利益を出すために、コスト削減を
する、というのはありがちですが、なりふり構わずコスト削
減をやった挙句、将来を見据えたプロジェクトを中止したり
したら、将来の可能性を損ないかねませんよね。

 あくまでも、従来の会計では、顧客にもたらす「価値」と
いうものが、企業のプロセスのどこで生み出されているのか、
ということを評価することが出来ないということで、最早、
企業の成果を測るための役には立たない、ということになり
ます。

 ちょっと会計を知っていると、メチャメチャ面白い本です。
 思わず、本の世界にハマり込んで、30分ちょっとで読んで
しまいました!(笑)