わかりあえないことから/平田オリザ

 

 

 予告通り川上さんの『答えはすべて本に書いてある

で取り上げられている本を紹介します。

 演劇の戯曲と演出を手掛ける平田さんですが、大阪
大学において、コミュニケーション論の講座を担当さ
れていることもあって、主に演劇の演出を通して感じ
られた「コミュニケーション」についてのエッセイを
集めた本です。

 そもそも「コミュニケーション」というのは、全然
バックグラウンドの異なる人の間では、成立するのが
難しいという前提で考えるべきだと、冒頭で語られて
います。

 というのも、それぞれの個人が異なるバックグラウ
ンドを持っているということは、それぞれ思考のベー
スが異なるということで、それぞれの個人が相手の思
考のベースがどう言うモノなのか、と言うことを意識
しながら、自分がどう出るか、ということを考えなく
てはいけない、という複雑な思考をした上で成り立つ
ものだということです。

 だから、コミュニケーションって、意外と奇跡的な
モノなのかも知れませんね。