里山資本主義/藻谷浩介

 

里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)

里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)

 

 

 『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)

で脚光を浴びた藻谷さんの2作目です。

 今回は、NHKの企画と連動した著作のようです。

 タイトルに「里山」資本主義とありますが、この概念
は、従来の大量生産大量消費による経済拡大主義である
「マネー」資本主義への対立概念として掲げておられる
ようで、昨今、世界的に行き詰まりを見せている「マネ
ー」資本主義の行き過ぎを、「里山」資本主義によって
緩和できるのではないか、ということをおっしゃってい
ます。

 確かに、人口の爆発的な拡大を、「里山」が支えきれ
なくなった側面はあったのですが、その結果放置された
里山」が逆に、宝の山になっているんじゃないか、と
いうのもまた確かなようです。

 「マネー」資本主義では、豊かになろうとシャカリキ
になっていくと、実はさらに出費が必要になって、永遠
のラットレースを強いられるんじゃないか、ということ
を冒頭でおっしゃっていますが、「里山」のお宝を活用
することで、そのスピードを落としても「豊かに」なれ
る方法があるんじゃないか、ということを示唆されてい
ます。

 豊かさを経済的な指標で示すことの限界と、怪しさを
端的に指摘した重要な本ですので、是非とも一度手に取
ってみて欲しい本です。