「心の時代」にモノを売る方法/小阪裕司

 3部作というわけでも無いのかも知れませんが、角川oneテーマ21から毎年
出されている小阪さんの本の3冊目です。

 『「買いたい!」のスイッチを押す方法 消費者の心と行動を読み解く (角川oneテーマ21)』では、
どういう時にお客さんが「買いたい!」と思うのかを思考し、如何にしてそ
の状態に持っていくかを解説され、『お客さまの「特別」になる方法 「リレーションシップ・キャピタル」の時代 (角川oneテーマ21)
ではスイッチを押したお客さんを如何に自店に誘導するかの工夫について語
られていましたが、この本は、その総集編といった感じでしょうか?

 最初に、主婦の間で、効果であるにもかかわらず良く売れている、ル・ク
ルーゼの鍋と、ダウニーという柔軟剤について紹介されています。

 小阪さんも、お客さんの「買いたい!」のスイッチが押されるタイミング
について、感覚的にこういうものだ、というのはお持ちだったようですが、
それにしっくりくる表現を見つけあぐねていたようですが、この本で、その
答えを見つけられたことを話されています。

 それによると、お客さんは「嬉しい」体験を得るためにお金を払う、と言
うことのようです。

 モノが売れない、というのは、以前ならモノを買うだけでも「嬉しい」と
いう感情になれたのですが、最早モノを買うだけでそういう感情を持てるよ
うなモノが少なくなってしまっています。

 ということで、「体験」そのものが喜ばれるわけですが、あまりにも抽象
的なので、売り手側は手をこまねいてしまうわけで、そういう「嬉しい体験」
にモノやサービスを絡めることが、「売れる」要素になるようです。