その場しのぎの会社が、なぜ変わったのか/内山力

 

その場しのぎの会社が、なぜ変わったのか (PHP新書)

その場しのぎの会社が、なぜ変わったのか (PHP新書)

 

 

 経営に関するコンサルティングや、ビジネスパーソン向けに経営に関する教育をされている方の本で、この本は、経営に関するビジネスパーソン向けの講座からできたということです。

 講座の内容としては、誰もが知るような企業が、業績の落ち込みへの対処について、受講生がどうすべきか、とディスカッションした内容と、実際にその後、企業がどう対処して、どういう結果になったのか、ということが紹介されています。

 内山さんによるとバブル期以前の多くの日本企業は、従業員を大事にすることを主眼としており、こういう経営のスタイルを「マネジメント1.0」と呼ばれています。

 バブル期以降、アメリカ流の株主重視の経営スタイルが取り入れられ、如何にして株価や配当を上げるかということにフォーカスした結果、短期間な利益の追求に走りがちになり、その結果ジリ貧になってしまった…そういう「その場しのぎ」の経営スタイルを「マネジメント2.0」と呼ばれています。

 最近、そのジリ貧から立ち直るための方策として、自社の「理念」に立ち帰って、あるべき姿を見直し、その「理念」の下で事業の再構築を行った企業の業績が、そうでない企業と比べて、よい傾向があるようです。

 そういった「理念」には、如何に自社が社会の役に立てるのか、という観点を含むことが多く、従業員重視や株主重視と対比して、顧客重視もしくは社会重視とも言える経営スタイルを「マネジメント3.0」と呼ばれています。

 今後、こういった企業の社会性が重視される傾向が強まるでしょうし、そういった中で、自社の社会における、自社しか果たしえない役割を見いだすことが、長い目で見た企業の業績につながるということで、20年を経て、ようやくまともな方向に回帰したんですかね。