なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか/二村ヒトシ

 

 

 AV監督の二村さんの著書で『すべてはモテるためである (文庫ぎんが堂)』の女性版なんだそうです。

 男性版が「なぜ、女の子と付き合えないのか?」という即物的な問いかけに対して、「キモチ悪いから…」というミもフタもない答えだったのに対し、女性版はかなり深遠で、いきなり哲学的な感じがします。

 『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』というタイトルの問いかけについて、それは「自己受容」が出来ていないから、とおっしゃいます。

 じゃあ、なぜオトコの人と付き合うのか、と言うと、それは「心の穴」を埋めるためなんだそうで、そうなると相手も同じことを考えていることが多く、結局ただ利用しあっただけ、と感じることになって、「愛してもらえていない」という感覚になっているようです。

 よく「愛と恋の違い」について語られますが、上記の状態は、二村さん曰く「恋」であって、「心の穴」を埋めてほしいという自分の「欲望」を相手に押し付けているにすぎず、「愛して」もらおうと思ったら、自分も相手を愛す必要があるということのようです。

 じゃあ、その「愛」ってなんだ、と言うと、それは、相手のことを「受け入れる」ことなんだそうですが、「自己受容」すらできない人に相手を「受け入れる」ことは難しく、結局不毛な状態から抜け出せない人が多いということです。

 で、この本でも「自己受容」の方法論も書かれてはいるのですが、なかなかハードルが高いように思えます。

 ひょっとしたら、救いを求めてこの本を手に取った人が、絶望させられる…そんなこともあるかも知れないと思わされました。