ひとりぼっちを笑うな/蛭子能収

 

 

 今や漫画家というよりもバラエティ番組のタレントとしての方が通りのよい蛭子さんの著書です。

 言ってみれば「ひとりぼっちのススメ」なんですが、ススメというほど強い「主張」なワケではなく、ご自身の嗜好や経験を訥々と語って、「ひとりぼっちも悪くないよ」とおっしゃっているような感じの本です。

 昨今、「絆」なんて言葉がよく取り沙汰されるようになって、人と人とのつながりがやたらと持ち上げられて、ひとりでいたいなんて言うと、「協調性がない」なんて怒られたりもします。

 そこで妙に無言の「集団の圧力」なんかも醸し出したりして、「たまにはひとりでいたいよね」みたいなことすら否定されたりします。

 蛭子さんのことなんで、声高に異を唱える感じではないのですが、それでも「自由」できることの楽しみも捨てがたいよ、ということです。

 特に教訓めいたことをおっしゃるわけではないのですが、ちょっと考えさせられる本でした。