人に強くなる極意/佐藤優

 

 

 「知の怪人」佐藤さんによる「強い個」としての在り方についての本です。

 外務省で魑魅魍魎の人々を向こうに回して立ち回りを演じてきた佐藤さんだけに、「揺らがない」ための方法論は強力です。

 しかも、今回の本は青春出版社という青少年をターゲットとした出版社からの本ということで、普段の佐藤さんの本よりも平易な表現を用いて非常にわかりやすく語られています。

 「人に強くなる」ために必要な基本技法として佐藤さんは「怒らない」「びびらない」「飾らない」「侮らない」「断らない」「お金に振り回されない」「あきらめない」「先送りしない」ということを挙げられていて、それぞれについてのスタンスを語られます。

 全体的に、臨機応変でありながらも自分の信念や主義に関わることについては絶対に曲げない、といった姿勢が「強さ」を作る、という印象が強く、その辺りのギリギリの切り分けを迫られる場に身を置くことで「強さ」が研ぎ澄まされて行くだろうなあ、という気がします。