職場で他人を傷つける人たち/香山リカ

 

 

 勝間さんとのバトルを繰り広げたことでも知られる精神科医の香山さんの著書です。

 回りくどいタイトルになっていますが、テーマはジャスト“パワハラ”です。

 往々にして日本企業では、何気に“パワハラ”をやってしまっている状況になりがちあにょうですが、その原因としては元々職場が「家庭」を模したような風潮があり、上司と部下の関係が疑似的な「親と子」的なことを志向しているような部分もあって、現代の観点からすると「行き過ぎた指導」となってしまうようなことも正当なこととしてまかり通ってしまっていた、というような事情があります。

 今となっては、そういう「家庭」的な雰囲気も同僚との人間的なつながりも希薄になった状況の中で、以前のままの「指導」だけが残ってしまって、「指導」を受ける側の耐性も弱くなってしまったということで、うつ病の罹患に直結してしまうような状況になっているということのようです。

 こう書いてしまうと、「指導」を容認してしまっているようですが、そもそもそういった「指導」が上司の側の独善的な判断から出てきたものなので、以前では社会的にも容認されていたのかも知れませんが、人材を活かすといった意味合いでは、そういう独りよがりな「指導」は最早容認されない、といった部分もあるのでは?と感じました。