「知」の読書術/佐藤優

 

「知」の読書術 (知のトレッキング叢書)

「知」の読書術 (知のトレッキング叢書)

 

 「知の怪人」佐藤さんによる読書術の本を、このブログでも紹介していますが、全く切り口を変えているところがスゴい!

 元々この本は、電子書籍を「教養」をつけるためのツールとしての利用法ということで書こうとされたようですが、未だ電子書籍にそこまでのラインアップが無いということで、前半は「教養」つけるための歴史書、後半は電子書籍やインターネットなどの新
しいメディアを「教養」をつけるために如何に活用するか、という構成になっています。

 前半部分で印象的だったのが、帝国主義に関する書籍から読み解くと、ロシアによるウクライナ併合や中国が尖閣諸島にちょっかいを出したり南沙諸島を伺ったりと言った動きは、帝国主義の新たな展開として理解することが出来るようで、19世紀における欧米の帝国主義から遅れて現れてきた、という捉え方ができるようです。

 後半の電子書籍の活用ですが、未だラインアップが貧弱だとは言うものの、佐藤さんは現時点でも活用の余地があり、将来的にもっと役割が大きくなると考えられているようです。

 電子書籍の無料もしくは格安の古典をまとめて手元に持っておくことで、レビューみたいな使い方が、現時点での有用な活用法になるということです。
 
 あと、インターネットの活用法としては、情報の鵜呑みへの警告が印象的で、あくまでも書籍なんかである程度の基盤を作ってからでないと、玉石混交の情報の中から有効に情報を活用することは難しいと考えられているようです。

 非常に「深い」情報の扱いが印象的です。