奇跡のリンゴ/石川拓治

 

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)

 

 

 NHKの「プロフェッショナルの流儀」で取り上げられた、無農薬無肥料でのリンゴ栽培を実現した木村秋則さんの苦闘を描いた本です。

 そもそも番組だけで終わるはずが、メインキャストである茂木健一郎さんが書籍化を強く主張された結果、追加取材を経てこの本になったということです。

 そもそもリンゴと言うのは、消費者の嗜好に沿うべく、甘みの強いものに品種改良を重ねていった結果、甘みを増した反面、非常に害虫などに弱くなってしまい、少なからぬ農薬に頼ることを余儀なくされるようになったということです。

 それで奥様が農薬に過敏な体質だったということと、ふと出会った本をきっかけに無農薬でリンゴを栽培しようと思い立ったことが発端だったのですが、これがハンパじゃない難行だったということです。

 10年近くにわたり、リンゴ栽培による収入はほぼゼロで、それだけではなく、周囲のリンゴ農家から自分のリンゴ園に悪影響が及ぶ懸念から村八分に近い状態にされ、孤立無援のまま死のうとすらしたのですが、不屈の闘志で無農薬無肥料でのリンゴ栽培を成し遂げ、今やその想像を絶する美味から入手困難な状況になっているということです。

 木村さんは「オレはバカだから、思い込んだらとことん…」というようなことをおっしゃいますが、その信念があまりにも崇高です。