あの戦争は何だったのか/保阪正康

 

あの戦争は何だったのか―大人のための歴史教科書 (新潮新書)

あの戦争は何だったのか―大人のための歴史教科書 (新潮新書)

 

 

 太平洋戦争へ至る経緯から敗戦までを、政治や組織のメカニズムなどを踏まえて検証した本です。

 「政治や組織のメカニズム」とはいうものの、詰るところ太平洋戦争と言うのは、「アメリカちゃんイジワルをして、オヤツ(石油)を分けてくれないから、ケンカしちゃった!」ってレベルの子どものケンカを、軍部が国家全体を巻き込んでやってしまった…という、読んでて泣けてくるほどバカバカしいものだった、と保阪さんはおっしゃいます。

 まず、戦力分析では、戦争を始めたいがために相手を過小評価するにとどまらず、日本の「精神力」を過大評価して、10倍と言われた兵力量を持つアメリカと互角に戦えると、マジメに評価したとされていたり、そもそも買ったらどうしたいのかとか、敗色が濃くなって来たらどうするのかとか、そういうビジョンを全く持たないまま、とりあえず殴ってしまいました、という体たらくです。

 挙句の果てに、手続きが遅れたとかというくだらない理由で、宣戦布告ナシの軍事活動開始と言うことになってしまった訳です。

 こんな児戯がごとき戦争のために300万人もの人たちが亡くなったかと思うと、犠牲になった人々や遺族の方々の無念はいかばかりかと…