昨年、ノーベル生理学・医学賞を受賞された大村先生の評伝です。
でも、この本ノーベル賞を受賞される以前の2012年に出版された本で、一般的には知名度の低い人にも関わらずこういう本が出版されていたということで、如何に業績が評価されていたのか、ということをうかがわせます。
ノーベル賞受賞後のエピソード紹介なんかで、散々出てきていたのでご存知なことも多いとは思うのですが、元々夜学の教師をされていたとか、そこから一念発起して研究者を目指したとか、そういうことが紹介されています。
あまり受賞後のエピソードで紹介されていない、大村先生の大きな業績としては、アメリカ型の独立採算制の組織を確立されたことが挙げられます。
それまでも、企業がこぞって買いに来るような成果を上げながらも、決して企業の意図の下で研究をするということをよしとせず、あくまでも自律的な研究を進めるための体制を整え、根付かせた意義は小さくないと思います。
さらに、北里研究所全体のコスト意識を根底から改めるに至るところ、研究者としてだけでなく、経営者としての才能も発揮したというところがスゴい!
キレイごとだけじゃなく、清濁併せ呑んで理想を実現させようとする姿勢が非常に印象的でした。