『人は見た目が9割 (新潮新書)』の竹内さんが、手塚治虫さんを語ります。
手塚治虫さんと言えば、日本における現在のマンガのカタチの基礎を作ったと言われますが、それまでの日本のマンガや欧米のマンガとどういうところが違って、どう発展させていったのが、ということについて語られます。
よく日本のマンガはストーリー性が強くて、絵画性を重んじるアメリカのマンガやメッセージ性を重んじるフランスのマンガとの差異が指摘されますが、元々貸本なんかといった下地があって、子供のころからストーリー的なものを受け入れる素地があったことで、手塚マンガは生まれるべくして生まれたとも言えるのですが、やはりいくつもの革新的な手法をマンガに持ち込んでおられて、そういったモノが脈々と現在に至るまで使われている、ということです。
その手法というのが、ディズニーをはじめとするアニメや映画の手法をマンガに取り込んだということで、絵に動きを持たせるような描き方で、さらには読み手が時間の経過を自然に受け取れるように、コマの流れにテンポをつけるようにした、ということです。
手塚さんは絵が下手で、何度もボツを食らったという意外なエピソードも紹介されていますが、それだからこそ貪欲に新たなモノをマンガに盛り込んで強みにしようとするその姿勢が、現在のワタクシたちの生活を豊かなモノにしているのかと思うと、感謝の念に堪えません。