謝々!チャイニーズ/星野博美

 

謝々(シエシエ)!チャイニーズ (文春文庫)

謝々(シエシエ)!チャイニーズ (文春文庫)

 

 

 米原万里さんの『打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)』の中に含まれている書評でこの本を激賞しておられて、かつこの本が出版された年のベスト3にすら挙げておられるということで、更には、ワタクシも度々中国に出かけていたということもあって、手に取ってみました。

 この本は元々写真家であり、段々と紀行文を書くようにもなった方の初期の出世作のようで、1993年頃に中国の比較的マイナーな都市を訪問された時の様子を紹介した本です。

 ワタクシもこの頃から中国に何度か訪問していたので、兌換券とかチェンジマネーとか、その頃に中国に行った方なら(ツアーの人はそうでもないかも知れませんが…)嫌と言うほど聞かれたであろう言葉を懐かしく読みました。

 まだ、今にも増して制限の厳しい頃で、開放政策が始まってようやく地方でも外国人が訪問できる都市が増えてきたばかりの頃の貴重な体験です。

 ワタクシはそこまでマイナーな都市を訪問した経験が無いので、ここまでディープな体験はしていないのですが、ミョーな土産モノ売りとの丁々発止のやり取りや、なぜここまで!?と思うほどの親切を受けたりとか、この頃に中国を訪れた人なら、あるある!と言いたくなるようなことが書かれていますが、いつの間にか目覚ましい発展を遂げた現在の中国では、最早体験できないであろう、「古き良き」中国の姿がここにあります。

 日本でもそうだと思うのですが、経済が発展して人々の生活が豊かになっていいとは思うのですが、何か大切なモノを失ったような気がするのはワタクシだけでしょうか…?