ガセネッタ&シモネッタ/米原万里

 

ガセネッタ&(と)シモネッタ (文春文庫)

ガセネッタ&(と)シモネッタ (文春文庫)

 

 

 2006年に逝去したロシア語通訳、作家の米原さんによる、通訳の裏話を中心としたエッセイ集です。

 通訳と言うと、インテリでカタい人を想像してしまいがちですが、人生の機微にまで精通していないと通訳をこなすことも難しいことが多いということから、かなりユーモアのセンスに富んだ方が多いということです。(でも、米原さんによると英語の通訳の方々は例外で、あまりオモシロくない方が多いということですが…)

 ということで、通訳の仕事を面白おかしく語られる訳ですが、面白く語られてはいても、ホントにあの仕事は大変なんだなぁ…と痛感させられます。

 というのも、請け負った仕事によって分野は限定されるとは言うものの、未知の分野のコトバについて、万全の下調べをして本番の通訳に臨むわけですが、それでも未知の語彙が出てくるということで、如何に発言者の意図に沿って正確に訳すという緻密さと、それでも出てくる未知の語彙に対して臨機応変に対応する大胆さという、おおよそ相反する要素を備えていないと、一人前の通訳になれないと思うと、その道のプロがいかに稀有な才能を持った人々なのか、ということを改めて認識した次第でした。

 こういうカタい話をしていますが、抱腹絶倒のエッセイですので、お気軽に手に取って見てください。