情報への作法/日垣隆

 

情報への作法 (講談社+α文庫)

情報への作法 (講談社+α文庫)

 

 

 えーと、また日垣さんの連載モノです。

 テーマは「情報」なのですが、インターネットを始めとする様々な情報技術の黎明期における進化の様子と、その意義みたいなことを最初の方は書かれているのですが、段々と「情報」の意味するところが広がって行って、普通名詞としての「情報」の取扱いの「お作法」のような感じで、おおよそ「情報」にまつわるあらゆる側面と、その対応について書かれていて、日垣さんお得意の犯罪者や冤罪をかけられた人たちと「情報」の関連なんかも描かれます。

 最初の方でインターネットを始めとする情報技術の進展による新たな可能性ということで、今や当たり前ともいえる「お作法」が、たった20年程前には、こんなに回りくどい、かつ膨大な時間とおカネをかけなくてはならなかったかと思うと、情報技術への感謝の念に堪えません。

 さらには、障害がある人たちへの情報技術の進展がもたらした恩恵についても語られていて、ある意味それまで全くコミュニケーションの手段を持てなかったような人でも、不自由な部分は残るものの、意思を表明する手段を持てたということに、大きな意義が感じられます。

 そういう結構「重い」ルポが500ページ余りにもわたって繰り広げられていて、25ページ余りの1編だけでもずっしりとした読み応えがあるので、それを500ページ分ということで、面白いんですけど、ドッと疲れが押し寄せるような読後感でした。